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エコー・レイク テーマランド:Echo Lake ディズニー・ハリウッド・スタジオ オープン:1989年5月1日 アトラクション インディ・ジョーンズ・スタント・スペクタキュラー! 生まれてはじめて:フローズン・シング・アロング・セレブレーション(2014年~) スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー ジェダイ・トレーニング:トライアル・オブ・ザ・テンプル セレブリティ・スポットライト* ショップ Preparing レストラン Preparing
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#blognavi 12/12(水)参加者12名 テメ中央1階>クリア オーキッドチップ>ワサビ 古銭38枚>1枚LSへ 参加者リスト オリビエ、テフテフ、カバ、アル、ルサ、ヤジュウ、 ミワ、ケスラ、カズタカ、ジェダイ、ルネコ、ワサビ カテゴリ [テメナス] - trackback- 2007年12月12日 23 06 53 #blognavi
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#blognavi 2/6(水)参加者13名 テメ東>クリア スカーレットチップ>ワサビ 古銭49枚>1枚LSへ リーダー欠席に付き参加者リスト↓ ケスラ、ディビド、ポゥ、カズタカ、テフテフ、オリビエ、ジェダイ カカシ、ルネコ、デューク、ニッシ、アル、ワサビ カテゴリ [テメナス] - trackback- 2008年02月06日 23 19 21 #blognavi
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朝焼けに間に合わない◆k7QIZZkXNs 月が沈み、太陽が昇る。夜闇は朝の光に打ち払われ、マスク越しの視界を眩しく染めていく。 ダース・ベイダーはその光を全身に浴び、手にする宝刀・獅子王を鞘へと納めた。 この地へ降り立ち指針を定めて以降ダース・ベイダーはすぐには動かず、まず自身を把握する事に努めた。 最期の瞬間を覚えている。 魔星デス・スターで。帝国の将、シスの暗黒卿として。実の息子ルーク・スカイウォーカーとの、幾度めかの、そして最後の戦い。 ルークが放った叫びは今も耳に、魂に焼き付いている。 暗黒面に堕ちたダース・ベイダーを光の下へ呼び戻した、誇るべき息子の切なる声を。 そして、ルークを排除せんとする銀河帝国皇帝ダース・シディアス――暗黒の師にして全ての元凶を、湧き上がる怒りのままに討ち果たした。 ルークを守れはしたものの、代償は己の命。ダース・ベイダーもまた、命尽きる事となった。 しかし――後悔はなかった。 己を堕落させた禍根であり、銀河を蝕む悪意を滅ぼせた、それ以上に。 自らが傷つけ、苦難の道を歩ませた息子を、何一つ父親らしい事をしてやれなかった息子を、この手で守る事ができたのだから。 強く正しく成長した息子の姿を見て、息子の手の中で、息子に看取られ、穏やかに瞳を閉じた。 銀河帝国は遠からず滅ぶだろう。最後のジェダイ騎士ルーク、惑星オルデランの女王にして実の娘レイア、そして彼らの仲間たちによって。 憂いはない。これ以上何かを望む事もない。ただ一つとして悔いはない――が、ダース・ベイダーに静かな眠りは訪れなかった。 気がつけば。そう、気がつけばダース・ベイダーは生きてまたここに在った。 肉体の傷は全て消え去ていた。ルークによって斬り落とされた右手や、皇帝の放ったフォースの電撃により破損していたはずの生命維持装置すら一切の不備なく修理されて。 一度修羅の道を歩んだ者はその業から逃れる事は出来ないと言う事か。 自らが再びの生を受けた理由。傷を癒し戦う力を取り戻させた理由。数十名の剣士たちを殺し合わせる理由。 気にならないと言えば嘘になる。だが、考えても現状で答えの出る問題ではない。 何者が修理したかはわからないが、生命維持装置の調子は良好だ。 義手・義足は共に生前と同じ強度を持ち、唯一残る生身の右手もまた生前と同じ感触を伝えている。 ルークに斬り落とされた右手。思えばこの右手はある意味では息子との繋がりと言えるかもしれない。 強く成長した息子の一撃は、今思えば痛みだけでなく誇らしさをも思い出せるものだった。 なぜ左手や両足は義肢のままで右手だけを再生したのかはわからない。だがその事についてだけはロワと名乗る女に感謝してもいた。 しかし許すと言う事ではない。彼奴を斬る事によって礼とする。正しきジェダイとして、悪を討ち正義を為す。 生きて帰る気など元よりない。ルークやレイアが生きていくこれからの世界に、もはやダース・ベイダーは必要ないのだ。 故に今――ただ一振りの刃として、歴史に名を残す事なきただのジェダイとして。 ダース・ベイダーはあらゆる悪を断つ剣となる。 『――往くか』 敵を、あるいは友となる者を求め歩み始めたダース・ベイダーの前にほどなくして現れたのは、一人の少女だった。 若い。彼の子供達より五つ六つは下だろうか。肩までもない黒い短髪、およそ戦闘に適さないであろう白く細い脚を剥き出しにした衣服。 一見無害な非戦闘員とも思えるが、手にする無骨な刀がそうではないと告げている。 ダースベイダーは少女と視線を合わせる。少女の内に滾る殺意を感じ取り、思わずダース・ベイダーの手は外套の下の刀へと伸びた。 (……いや、まだだ) しかし、抜刀はしない。意識して強張る指を柄から引き剥がし、大きく五指を広げて少女へと翳す。 待て、という意識表明。 『わしは、殺し合うつもりはない。剣を納めよ』 ジェダイの騎士が為すべきは何か。 それは戦う術なき弱き者を守り、フォースの暗黒面に堕ちた者を倒す事。 ならば誰と相対したとて、ダース・ベイダーが先に剣を抜いてはいけない。 その者が発するフォースを感じ、理解し、もはや救えぬとわかった時こそ、剣を振るうべきなのだから。 「……っ。また、そうやって……!」 マスク越しの、機械の音声を不思議に思った風もなく。あるいはそれどころではないか。 ダース・ベイダーの言葉に、何か思い出すものでもあったか、少女は痛ましく顔を歪めると一気に刀を抜き払った。 視線を合わせた時、殺意の中に僅か感じた、迷い。 それは間違いではないはずだと、ダース・ベイダーはまだ与えられた刀を抜かない。 迷えるのなら、まだ道を選んでいないのなら。今は暗黒面に身をやつしたとて、正しきフォースの元へと引き戻す事はできるはず。 かつてルークが己にそうしてくれたように。 「刀を抜いて……本気で戦ってください! でないと、私は……!」 天秤は揺れている。戦う決意はしても、覚悟がついてきていない。他に何か、人を殺すに足る理由を求めている。ダース・ベイダーはそう見て取った。 たとえば、命令されたから。先に相手に襲われたから。身を守るために仕方なく。大事なものを取り返すため――など。 迷いを払拭するだけの強い理由。あるいは忘却するほどの。 もしダース・ベイダーが先に刀を抜いていれば、少女はダース・ベイダーを危険な人物と見做し自己の安全のために迷いを忘れられたかも知れない。 しかし、そうではない――だから、本気で戦えと懇願するのだろう。殺していいのだと、殺すべきなのだと、自分に言い聞かせるために。 『お前がどうして戦いたいのかは知らぬ。だが……今にも泣きそうな顔で剣を振るう者を斬る刃など、わしは持たぬ』 「う、うぅ……だったら!」 少女を刺激しないよう静かに諭す。が、一向に剣を抜かないダース・ベイダーに業を煮やしたか、少女は野太刀を鞘に納めたまま突進してくる。 思いの外、速い。素人ではない、訓練された戦士の動きだ。 予想される少女の能力を上方修正しつつ、素手では防げないと感じたダース・ベイダーは刀の鞘を掴み、腰の剣帯から取り外した。 少女は鞘に納めたままの野太刀を抜刀した。鞘走りの勢いを速度へと転化し斬りつけてくる。 外套を翻し刀を掲げる。甲高い金属音。少女の剣戟は、ダース・ベイダーが掲げた宝刀・獅子王の柄と鍔の間にしっかりと受け止められた。 手にする剣――刀、は使い慣れたジェダイの武器ライトセーバーとは違う実体剣である。必然、光熱線の束であるライトセーバーとは違い、質量があり、重さがある。 かつてジェダイ候補生、パダワンであった時代に実剣を扱った事はあるものの、近年久しく手にしてはおらず。 勘が鈍ったのではないかと危惧したダース・ベイダーは、殺し合いが開始してすぐの一時を修練と肉体の把握に費やしていた。 その甲斐あってか、イメージ通りに身体は動く。刀の重さに振り回される事もない。 「そ、その刀は……黄泉の!」 だが、その人間として当然の自衛行為が、迷う少女にとってこれ以上ない起爆剤でもあったらしい。 ダース・ベイダーの刀を目にした途端、揺れていた少女の瞳は据わってしまった。彼に支給された剣はどうやらこの少女に縁深きものだったらしい。 「返して……!」 迷う心への一押し。図らずも大事なものを取り返すという理由を放り投げてしまった。 銀光が幾重にも閃き、ダース・ベイダーの身を斬り刻もうと襲い来る。動揺を脇に置き、嵐のような斬撃を一つ一つ受け止めていく。 刃を抜かず、鞘に納めたままでの防御。鋼鉄の鞘は十分な硬度は備えているが、速度の乗った刃を受けては幾許も持ちはしない。 少女のそれは素人ではない、剣を心得ている者の動きだ。斬撃は重く、受けるダース・ベイダーの機械の手にも衝撃は蓄積する。 いかに熟練のジェダイとて防戦一方ではいずれ打ち破られるだろう。 ダース・ベイダーは片手で野太刀を受け止めたままもう片方の手を掲げた。空手の五指が虚空を掴む。 「あうっ!?」 少女の顔が強張る。フォースが生む力の一つ、テレキネシス。手を触れずに物体を動かす力。 直接相手に叩きつけて吹き飛ばす事もできるが、ここでダース・ベイダーが使ったのはフォース・グリップと呼ばれる技だ。 手を触れずして物体を締め上げる。シスの技ゆえあまり使いたいとは思わないが、敵を殺さず無力化するにはうってつけの技である。 少女の刀を握る腕、その手首をめがけフォースを集中させる。全力で使えば人の首を折る事すら容易い。 もちろんダース・ベイダーにそこまでする気はないが、刀は取り上げねば話もできない。フォース・グリップを強め、少女の手首にダメージを与えようとした。 「こ、の!」 握力を失うくらいの力で締め上げたつもりだったが、予想に反し少女は刀を取り落とさない。 少女は刀から添えていた片手を外し、自らの太腿へと滑らせた。 短いスカートが撥ね上がり惜しげもなく下着を晒した次の瞬間、少女の手には黒塗りの鋭い短剣が握られている。 短剣の切っ先がダース・ベイダーへと突き込まれ、瞬時に顔を反らし脅威から逃れる。間に合わず、仮面の上を鋭刃が滑り抜けていく。フォースグリップが霧散した。 流れる視界の中、少女が短刀を放り投げて野太刀を鞘に納める姿が目に映った。先ほどの、抜刀の勢いを利用した斬撃が来れば崩れた体勢で受け止めるのは難しい。 ならばとダース・ベイダーは宝刀を旋回させ、次いでフォースを凝縮させて自らの刀へと叩きつける。 剣戟によってひび割れていた鞘は中途で砕け、鉄の破片が散弾銃のように射出。とても剣で撃ち落とせる量ではない。 虚を突かれた少女は慌てて側転し難を逃れるものの、その一瞬の隙こそがダース・ベイダーが欲したものだ。 瞬間に間合いを詰めたダース・ベイダーが打ち込んだ拳が少女の腹を抉るが、しかし少女もさるもの、咄嗟に後方へ跳ばれ衝撃を逃がしていた。 ダース・ベイダーは追わず、少女が取り落とした野太刀を自らの後方へと蹴り飛ばす。 『ここまでだ』 「っあ……!」 『お前ではわしに勝てぬ事は、わかっただろう。勝てぬ相手に挑むのは愚か者のする事だ』 「それ、でも……私は! 返して……それは、獅子王は黄泉のものだから!」 『ヨミ……お前の大切な人か。そのヨミとやらがお前をそこまで駆り立てるのか』 「そう、私は、黄泉の、お姉ちゃんのため……だから、私は!」 揺れる瞳が定まらないまま、少女が短刀を拾い向かってくる。痛撃を浴びせられ武器を奪われた現状、戦力差は絶望的だと分かっているはずなのに。 眼光はいよいよ鋭さを増している。かつて暗黒卿時代に何度も見た、敵わないと知っていてなお特攻してくる者の目だ。 打ちかかってくる彼女の動きは先ほどまでの鋭さはない。ダース・ベイダーの刀に対して短刀では圧倒的にリーチが足りない。 それでもダース・ベイダーを切り裂こうと無理に踏み込んでくるのだから、迎撃も容易だ。 野太刀で短刀を弾き、つんのめった少女の足をテレキネシスで払う。さほど強い力は必要なかった。 ダース・ベイダーは、倒れた少女の首へ宝刀を突きつける。 『ここまでだ。次は腕を斬り飛ばす』 実際その気はなかったが、あえて冷徹に告げる。これでどうやっても勝てないとわかってくれればいいのだが。 自分の声が人間味を感じさせない機械の音声である事も、この時ばかりは役立ってくれるだろうとダース・ベイダーは小さく苦笑した。 冷たい刃の感触が一気に死の恐怖を思い出させたか、ひっとしゃくりあげて少女は止まる。 いくら腕が立つと言っても、やはりまだ幼い少女だ。恐怖を捻じ伏せ闘志へと変える事ができない。 さしたる被害もなく、制圧に成功。結果は上々なのだが、ダース・ベイダーは仮面の下で苦い息を吐く。 少女が生涯一番の強敵だったという訳ではない。幼い者を斬った事がない訳でもない。 それでもやはり、再びジェダイとして生きる事を決意した今となっては、子供らより幼い者を斬る事には抵抗があった。 安堵した一瞬、ダース・ベイダーはふとその場に新たなフォースの流れを感じ取る。 首を巡らせるより先に、フォースのもたらす直感に従って全力で跳躍した。 一瞬前まで彼がいた位置を、頭上から落下してきた“何か”が押し潰す。 砂塵が巻き起こる。ダース・ベイダーは回避の動きを止めぬまま、その着弾点を凝視した。 何か、ではない。それは人間だった。鎧兜を纏った大柄なシルエットが見える。 そいつはのそりと立ち上がり、こちらへと向かって――来ず、少女を抱えて飛び退る。 「いいぞ、やっちまえ!」 鎧武者は大声を張り上げる。当然ダース・ベイダーへ向けた物ではない。事態の推移についてきておらずきょとんとしている少女でもないだろう。 だとするなら残る可能性は一つ。鎧武者の仲間だ。すなわち、ダース・ベイダーを敵と看做す者。 今度は直感ではなく予測だった。再度フォースにて身を飛ばしたダース・ベイダーは、すんでのところで地面から突き出た巨大な光刃をかわす。 実剣ではない――おそらくはフォースで構成された刃。それが証拠に刃は瞬く間に解け消え、何の名残も残さない。 空中で四肢を振り、姿勢を制御。着地しつつ宝刀を構える。 鎧武者は詰めて来ない。ほどなくその傍らに、第四の人物、金髪の女騎士が現れた。 抜き身の刀を構えてこちらを睨む眼光は、当然と言えば当然だが敵意に満ちていた。そうでなければ奇襲など仕掛けては来ないだろう。 「こんなに早くあの女の甘言に乗った愚か者に遭遇するとはな。だが、間に合った……ここからは我らが相手をする!」 「え、我らって。俺も勘定に入ってるの?」 「当たり前だ! さっさと剣を抜け!」 「えー、さっきと話が違う……俺はこの娘を助けるだけでいいって言ったじゃないか」 「あれは首尾よくこいつを仕留められたらの話だ。仕損じた以上戦うしかないだろう」 「そんな事言っても、こいつすげー強そうじゃないか。完璧に不意を突いたのに倒せないって、普通ないだろ。ないって」 どうやら少女へ刀を突き付けていたところを目撃されていたらしく、完全に“殺す側”の人間だと思われている。 片方は年端もいかない少女、もう片方は漆黒の仮面と外套に身を包んだ男。どちらが怪しいと言って、間違いなくそれは自分なのだろうとダース・ベイダーは眉を顰めた。 事実は違うと抗弁するか? だが状況的に見てダース・ベイダーを信じてくれる要素はないように思えた。 むしろ往生際が悪いとさらに激昂するのではなかろうか。鎧武者を激しく叱咤する女騎士はそういうタイプに思える。 女騎士とは対照的に鎧武者はあまり好戦的ではないように見える。決してダース・ベイダーから目を離さないでいる様から見て警戒されているのは同じ。 女騎士が構える刀の切っ先を見やり、どうしたものかと仮面の裏で小さく唸る。 斬る、のは論外だ。女騎士たちがダース・ベイダーに攻撃してきた理由は、間違いなく少女を助けるためであろう。 だから善良という訳でもないが、少なくとも悪ではない。ジェダイが斬る対象ではないのだ。今のところ、だが。 ここは通じないとは分かっていても、言葉を尽くす場面だろう。 「つべこべ言うな! どの道、ここで戦わねば死ぬぞ。あの身のこなしを見ただろう」 「そりゃまあ……でもなぁ……」 『待て、わしは戦う気はない』 「ほら、向こうさんもそう言ってることだし。な? ……ん?」 「何?」 『戦う気はない、と言った。武器を納めろ』 無理だろう、と思いつつ。 『わしの名はダース・ベイダー。よければ名を聞かせてくれんか』 「あ、俺はギルガメッシュだ。こいつはアグリアス。よろしくな」 「お前は敵に何を言っている!」 「いや、だって自己紹介は人間関係の基本だし。戦う気はないって言ってるんだしさ」 「敵の言う事を簡単に信用するな! この少女が殺されかけていたのを見ただろう!」 「それは、まあ……」 やはり女騎士――アグリアスは聞く耳を持たない。鎧武者――ギルガメッシュの方はまだ話せそうだが、どうにも押しが弱い。 この二人組で主導権を握っているのはアグリアスなのだろう。 『それは誤解だ。わしにはその少女を害するつもりはなかった』 「では何故その刀を突き付けていた? 丸腰の少女相手に!」 言われ、少女を見る。野太刀も短刀も、ダース・ベイダーがすでに取り上げていた。 無力化させたのが裏目に出た。思わず舌打ちする。 少女と目が合う。こうなれば少女自身に弁解させるしかないが、 「わ、私。急に、その人に襲われて! 私の時も、最初は戦う気はないって言って、突然……!」 「何だと……!」 たった今。それも不可能になった。 いよいよ義憤に燃えたアグリアスの眼を見て、これはもう説得は無理だなと嘆息した。 少女にしてやられたと言うべきか。気がつけばダース・ベイダーが狩られる側へと追いやられていた。 もはや戦う以外に道はない。 「これで疑う余地はないな、ギルガメッシュ!」 「お、おう……ああ、くそっ! わかったよ、やってやらあ!」 ギルガメッシュが抜剣した。ダース・ベイダーの胴回りを軽く上回るほどの大剣だ。 そんな剣を、あの体格のいい男が扱うのだ。ジェダイはフォースで身体能力を強化できるとは言え、まともに受けては刀が折れる。 だが、脅威とは言えそれはまだ対処しやすいと言える。斬撃の軌跡を目で追う事は可能なのだから。 問題はアグリアスの方だ。先程の攻撃――地面から生えてきたフォースの刃。あれがまずい。 数多くのジェダイと剣を合わせてきたダース・ベイダーですら、あのようなフォースの使い方は目にした事がない。 そしておそらく、手札があの突き立つ刃だけという事はないだろう。アグリアスに切り札を失った狼狽は見て取れないからだ。 未知の攻撃をどれだけ凌げるか。一度でも直撃すればそこからギルガメッシュに押し込まれるのは目に見えている。 「私も戦います!」 少女が弾き飛ばされた短刀を拾う。野太刀は今もダース・ベイダーの後方にあるため、脅威は小さい。 が、戦闘が再開すれば。少女はおそらくダース・ベイダーの相手をアグリアスとギルガメッシュに押し付け、野太刀を回収する事だろう。 アグリアスのフォース、ギルガメッシュの大剣、少女の素早い斬撃。どれ一つとっても片手間にあしらえるものではない。 その上、誰も殺さずこの状況を切り抜けようと言うのだから、己の無茶に呆れ果てもする。 (それでも……わしは退かぬ。この程度の苦境を跳ね除けずして、ジェダイを名乗る事などできん) 胸中で呟き、宝刀を強く握り直す。少女の視線が吸い寄せられるのを感じる。 少女もダース・ベイダーからこの刀を奪うまで、どうあっても退く気はないだろう。 全身を巡るフォースの流れを意識する。不備なし、万全。誰が相手であっても後れを取りはしない――そう信じる。 アグリアスが刀を振り上げる。その切っ先にフォースが漲るのを感じ、ダース・ベイダーもまた疾走を開始するべく両脚へと力を込めて、 「止めろォォォ――――ッ!」 横っ面を叩かれたような張りのある強烈な声に押され、行動を中断せざるを得なかった。 誰もが――ダース・ベイダーやアグリアス、少女でさえもが敵手から視線を外してその声の響いた方向へ眼をやる。 そこには黒髪を逆立てた青年がいた。全身に朱色の線を引いた傷だらけの姿で、しかし痛みに屈する事なく力強く歩いてくる。 「あ……!?」 「追いついた……そして、間に合ったぞ、土宮くん!」 青年は、ダース・ベイダーでもアグリアスらもでなくただ一人、少女へ向けて言葉を放つ。 土宮と呼ばれた少女はびくりと身体を震わせるが、構わず大神は進む。 ダース・ベイダーの前を横切り、何か言わんとしたアグリアスを眼光で怯ませ、土宮の目の前に。 青年はすう、と大きく息を吸い込み―― 「今度こそ、君を止めてみせる!」 そう、高らかに宣言した。 「いや、誰だよお前。いきなり出てきたのはいいけど、せめて自己紹介くらいしろよな」 「え? あ、これは申し訳ない。俺……いえ、自分は帝国海軍所属、大神一郎少尉です」 そして即ギルガメッシュに突っ込まれ、慌てて自己紹介をした。 ダース・ベイダーは嘆息し――だが、これで勝てる“芽”が出たと、一人戦意を新たにするのだった。 【C-6 草原/一日目/黎明】 【ダース・ベイダー@スターウォーズ】 【状態】健康 【装備】宝刀・獅子王@喰霊-零- 【道具】基本支給品一式、ランダムアイテム×1 【思考】 基本:弱きを守り、暗黒面に堕ちた(殺し合いに乗った)者を倒す。 1:ジェダイ騎士として戦う。 【備考】 ※参戦時期は第二デス・スターでルークと戦い人の心を取り戻した後。 ※宝刀・獅子王で鵺の霊獣「乱紅蓮」が呼び出せるかは不明(後の書き手氏にお任せします)。 ※夕凪@魔法先生ネギま!が近くに落ちています。 【大神一郎@サクラ大戦】 【状態】疲労(小)、胸に打撲、裂傷多数 【装備】霊剣荒鷹@サクラ大戦 【道具】基本支給品、ランダムアイテム(個数、内容ともに不明) 【思考】基本:この戦いを止める。 1:殺し合いを止めさせるために動く。 2:神楽を止める。 【土宮神楽@喰霊-零-】 【状態】疲労(中)、腹部打撲 【装備】アサシンダガー@ファイナルファンタジータクティクス 【道具】基本支給品 【思考】基本:黄泉の為に優勝する 1:誰かを殺して覚悟を決めたい 【アグリアス・オークス@ファイナルファンタジータクティクス】 【状態】健康 【装備】九字兼定@空の境界 【道具】基本支給品、ランダムアイテム(個数、詳細不明) 【思考】基本:ロワを打倒して元の世界に帰還する。 1:シド、クラウドと合流する。 2:遺跡の剣が気になる。 【ギルガメッシュ@ファイナルファンタジー5】 【状態】健康 【装備】アルテマウェポン@ファイナルファンタジー7 【道具】基本支給品、ランダムアイテム(個数、詳細不明) 【思考】基本:剣はほしいが殺し合いはあまりしたくない。 1:とりあえずアグリアスに同行する。 2:バッツに会ったらどうしよう。 3:遺跡にあった剣がほしい。 【備考】 ※次元の狭間を彷徨っているときからの参加です。 ※外見はギルガメッシュチェンジ前のもの。 ※C-7の遺跡には12本の剣が封印されており、放送ごとに四本の封印が解かれます。 ※一人が持ち出せる剣は一振りのみです。 ※剣を抜くには何かしらの条件があるかもしれません。 BACK NEXT 045 仲間 投下順 047 [[]] 045 仲間 時系列順 047 [[]] BACK 登場キャラ NEXT 020 闇に輝く光 ダースベイダー 000 [[]] 021 封印の剣 アグリアス 000 [[]] 021 封印の剣 ギルガメッシュ 000 [[]] 023 願果(ねがいのはて) 土宮神楽 000 [[]] 023 願果(ねがいのはて) 大神一郎 000 [[]]
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登録日:2019/02/22 Fri 00 00 00 更新日:2024/04/11 Thu 16 42 31NEW! 所要時間:約 10 分で読めます ▽タグ一覧 STAR_WARS シールド ジェダイ ジェダイの天敵 スターウォーズ スター・ウォーズ ダンゴムシ デストロイヤー デストロイヤー・ドロイド ドロイディカ ドロイデカ ドロイデガス ドロイド ニモーディアン バトルドロイド バリア ホイール ホイール・ドロイド 代償は極上肉 兵器 兵士 分離主義勢力 最強 爆丸 独立星系連合 通商連合 「ドロイディカを呼べ!!」 ドロイディカとは、スターウォーズシリーズに登場するロボット兵器「バトルドロイド」の一種。 ●目次 【概要】 【スペック】【長所】 【短所】 【総評】 【劇中の活躍】 【余談】 【概要】 バトルドロイドは一般には、使い捨てを前提として「安さ」を追求して設計された「Bシリーズ・バトルドロイド」が主流である。 特に主力のB1バトルドロイドは、人間に準ずるほどの汎用性と、銃器によるまあまあの攻撃力、そして極端なまでの安さによる「数の暴力」により、個々の戦闘力は極端に低いものの優秀な「兵士」としての立場を確立しており、クローン大戦ではクローン・トルーパー達を相手に熾烈な戦いを繰り広げた。 しかし同時に、1個体あたりの弱さは決して無視できなかった。 それこそ女性でも壊そうと思えば壊せるのである。おまけに知能もポンコツと、少々頼りない感は否めない。 そこで、そんな「汎用性は高く群体として運用すれば強いが、個々では弱い」Bシリーズ・バトルドロイドに対して、「個々の戦闘能力を極限まで高めた、直接戦闘用のバトルドロイド」が、ドロイディカである。 【スペック】 外観は、ひとことでいうと巨大なダンゴムシタイプ。 簡単な変形機能が仕込まれており、手足を収納して胴体を丸めた、丸まったダンゴムシかホイールのような移動形態と、 胴体を若干開き、収納していた両腕と三脚を展開した戦闘形態を切り替える。 EP1~EP3全てに登場し、一見全て同じに見えるが、エピソードごとに機種が異なっており、 Wシリーズ(EP2に登場)→Pシリーズ(EP1に登場)→Qシリーズ(EP3に登場) という順番で、より高性能化が図られている。 ちなみに、人間の言葉はしゃべれない模様。おかげでボケキャラになる災難に遭わずに済んだが。 【長所】 最大の特徴は、人間大ドロイドとしては破格の防御用エネルギーシールドを展開できる点。 全身を包み込むようにして球体状のシールドを展開し、自らの身を守ることができる。 これにより、歩兵が携行できるレベルのレーザー攻撃・ビーム攻撃は完全に無力化できる。 ジェダイが行うブラスターの反射による反撃も当然無意味であり、接近できても、そのシールドはライトセーバーの光刃さえ阻むことができる。 (ちなみにシールド発生装置は「鼻先」にあるらしい) これで防御面はほぼ完璧だが、攻撃能力も極めて高い。 両腕には連装型のブラスターをそれぞれ一基ずつ搭載。 腕部一体型ということもあってか、連射性能・破壊力ともに後発のB2バトルドロイドさえ上回り、上述のシールドに保護されているため外からの攻撃で破壊することは不可能に近い。 加えて射撃時に激しく前後させ、発砲する瞬間だけ砲口をシールドから出し、射撃後はシールドの内側に戻すというギミックによりシールドを展開したまま一方的に攻撃できる。 またドロイディカは移動に際して、ボディをホイール状に丸めたうえで回転し、転がって移動する。 その移動スピードは、実は陸戦型ドロイド単体としては最速である。 さすがに飛行ユニットに乗ったドロイドや戦闘機タイプには叶わないものの、人間大のドロイドが高速で移動できるというメリットは大きく、 劇中では突如転がって襲いかかり、一瞬で敵を包囲して捕縛・殲滅する、という描写も多い。 シールドによる高い防御力と、その中から放たれるブラスターの弾幕を組み合わせたドロイディカの戦闘能力は極めて高く、後発のB2バトルドロイドやマグナガードといった機体群にも全く引けを取らない。 それどころか単純に火力だけを見た場合、全バトルドロイド中でも間違いなく最強と言える。 特に、ライトセイバーによる戦いを前提とするジェダイにとっては、ブラスター返しを阻むシールドと接近すら容易ではない連射性能を兼ね備えたドロイディカは天敵と言っていい。 フォース・グリップ等の技で対処することは可能だが、強いフォースを繰るにはそれなりの集中力を求められ、相応に消耗もする。 ドロイディカ(というかバトルドロイド全般)と交戦する時は基本的に多勢に無勢であり、正面のドロイディカやその他の敵が連射するビームを凌ぎつつ、それだけのフォースを繰る労を費やすくらいなら、素直に逃げに徹した方が無難である。 「エピソードⅠ」ではクワイ=ガン・ジンが迷わず撤退を選び、「エピソードⅢ」ではすでにジェダイトップクラスの腕前に成長したアナキン・スカイウォーカーとオビ=ワン・ケノービの二人組ですら逃げの一手だった。 そもそも、映画本編ではジェダイに破壊される場面が存在しない。 後発のカートゥーンアニメ「クローン大戦」やCGアニメ「クローンウォーズ」では撃破される場面が増えていったものの、 それでもほかのバトルドロイドとは格が違う強敵として描かれており、クローントルーパーや歴戦のジェダイですら圧倒されるほど。 「クローンウォーズ」で、BXドロイド・コマンドーに包囲されたアナキンの 「デストロイヤー(ドロイディカ)じゃないだけマシです」という言葉が、その強さの象徴と言えるかもしれない。 【短所】 ここまではドロイディカの強さを説明した。実際にも、その戦闘能力は圧倒的である。 しかし、劇中で出てくるドロイディカはそんなに多くない。 出てきても、ほかのバトルドロイドが地面を埋め尽くすほど出てくるのに対して、ドロイディカはせいぜい二機か三機編成、多くても十機ほどしか出てこない。 これだけ強いなら、主力にしてしまえば良さそうなのに、である。 しかし、実際には主力にできない理由がある。それも割とたくさん。 1.コストが高い ドロイディカは戦闘能力は高い反面、生産にかかるコストも相応に高い。 一般にはB1タイプの二百倍程度というのが定説で、もし全てのドロイドをドロイディカに切り替えると、軍隊の規模が0.5%にまで減ってしまうということでもある。 一丁のブラスターを装備した強力な歩兵より、二百丁のブラスターを一斉掃射出来る案山子の群の方が制圧力で圧倒的に勝る場面は多々あるのだ。 2.運用できる場所が少ない ホイール状態での移動スピードは速い。これは確かなのだが、丸まって転がることで移動する以上、高速移動ができるのは市街や平原、大型宇宙船の中などの平地に限られてしまう。 そして、展開される脚部は細くて小さい三本足のため、展開状態での移動速度は全ドロイド中でもワースト級である。 いちおう、倒れても起き上がる機能ぐらいはあるものの、階段の昇り降りさえチマチマと歩くか、ホイール状態になって一度助走をつけるかしなければならない。 起伏の激しい場所を進む、沼地を渡る、などということは不可能である。 このため標的を追跡することが苦手で、逃走する敵を追いきれず逃してしまうシーンも多い。 3.汎用性が低い ドロイドの多くがヒト型なのは、両手を使って兵器や船の運用もさせるためである。実際、劇中ではB1タイプが、船のクルーとして機器を操っているのをよく見かける。 加えて携行火器も人間用のものを流用でき、いちいち専用品を誂えなくていいという点は間違いなく強みの一つになっている。 しかしドロイディカは両腕がまるごとブラスターとなっており、マニピュレーターで盤面をいじったり、サポート機器を使ったりという芸当はできず、極端な話目の前のモノを片っ端からブラスターで蜂の巣にする以外に能が無い。 ギミック的にも余裕がないため、身を屈めるなどということもできず、戦闘以外に使うことはほぼ不可能。 また構造上ブラスターの射角が狭く、ある程度距離が離れた対象しかブラスターで狙えないため、一度肉薄されてしまうと死角に潜り込まれて成すすべもないという事態も起こりうる。 4.シールドは万能ではない ドロイディカの強さを支えるのはシールドの展開能力である。この防御力により、ジェダイやクローントルーパーを圧倒する活躍ができる。 しかしこのシールドはあくまで対人戦闘用に作られたもので、また小型のドロイディカに仕込む都合上、どうしても小型化せざるを得なかった。 そのため、Pシリーズまではシールドの強度に限界があり、戦闘機や戦車の砲弾を阻むほどの防御力はない。シールドを展開していても、大型兵器の砲撃には破壊されてしまう。 Qシリーズでは高出力化に成功してこれらの攻撃も防げるようになったが、今度は後述の問題が生じた。 両腕を出したり引っ込めたりする都合上、シールドそのものにも攻撃力はなく、低速で動く物体は阻むことは出来ない。 つまり接近することさえできれば、シールドのなかに潜り込んでの攻撃ができる。 ドロイディカ自身も中~遠距離戦闘を前提としており、組みつかれたりボール状の小型爆弾が足元までゆっくり転がってきた、といった場合は対処する能力はない。 その接近が至難なのだが。 それにシールドの展開能力も無限ではなく、小型なぶん積み込めるエネルギー量も限られている。ずっと展開しているとエネルギー切れを起こしてしまう。加えて、武器であるブラスターを使用する際のエネルギー消費も激しい。この消費エネルギーの問題が、EP2のジオノーシスの戦いにおいて、Wシリーズがシールドを使用しなかった理由とされている(この欠点を克服した発展型がPシリーズとQシリーズ)。 加えて、シールドはブラスターを打ち消すのではなく跳ね返してしまうため、周りにドロイディカ以外の味方兵士がいた場合、跳弾で味方にまで危害が及びかねない。 それもあって、乱戦などではシールドを張らないドロイディカも多く、撃破される場合が少なくない。 ジェダイ側もこのドロイドとは戦場での長い付き合いのため、CGアニメ『クローンウォーズ』では、転がっている間はシールドを展開できない(*1)という明確な弱点を見つけており、ドロイディカは誘い込まれた上でまだ転がっている所を接近戦で撃破されているシーンがある。 5.過度の高出力シールドが自滅要因になる ドロイディカはQシリーズ時点で、軽砲塔による砲撃程度までの火器やプロトン爆弾、その他高速で飛来する高エネルギーの物体にも耐えうるシールドを獲得しており、極めて堅固なドロイドとして君臨している。 このシールドの発生装置は衝撃や熱源などの脅威に対して自動的に発動するよう設計されているため、ドロイド自身が物体の判別をして解除する機能が無い。 この設計は不便ではあるが、当然メリットがあるから採用されている。 と言うのも、ジェダイの中には、ドロイドの残骸から設計を解析したりフォースの遠見によって構造をある程度把握する、機械に精通した者も稀にだが存在するからである。 そんな彼らの手に掛かれば、フォースの遠隔操作で回路を弄って一部機能を無力化ないし一時停止させるといった芸当も可能であり、ドロイドがシールドを任意で解除可能な機構を設けるとそれが付け入られる隙になる。 そもそも、反応速度で圧倒的に勝るジェダイとの戦闘中に逐一シールドを解除するか否か判断させる為には、極めて高度なAIを搭載する必要も生じるので、対策としては非現実的である。 Qシリーズの衝撃を検知して強制的に起動するこのシールドの仕様は、構造が単純化する分だけ隙が減ってコストも低減出来る、運用する上で現実的と言えるジェダイ対策にもなっている。 だが、この機構のせいで船体が大きく揺れた拍子にドロイドが勢い良く転倒してもシールドが発動してしまう上に、前提となっている直立姿勢が崩れてしまうと、シールド発生装置には壁や床の区別がつかないのだ。 こうなってしまったが最後、ドロイディカは高出力シールドを常時展開し続けながら、宇宙船内を反発して跳ね回る。 シールドのエネルギー源が尽き、ドロイディカ自身が機能停止するまで、船内のあらゆるものに衝突しながら破壊して回る、死のピンボールと化してしまうのだ。 こうした理由のせいで、ドロイディカは平地以外では迂闊に使用できず、宇宙や屋内においては、警備用として常駐させるには向かない。 【総評】 総合すると、単純な戦闘能力では走・攻・守三拍子そろった折り紙付き、対人用バトルドロイドとしては間違いなく最強と言える。 しかし、戦闘能力のほかは汎用性の低さが目立ち、決して主力として運用できる機体ではない。 とは言うものの、主力のBシリーズ・バトルドロイドはドロイディカに欠けた汎用性を高いレベルで備え、あわせて運用することで互いの弱点をある程度カバーできた。 全体の仕様から考えても歩兵の代替というよりは自力での移動・展開が可能な移動砲台(セントリーガン)に近い存在で、EP1劇中での「少数配備し、戦闘の激しい地点へ機動的に投入する」という運用方法が本来の姿であろう。 通商連合の総督ヌート・ガンレイも本機種を要所要所で巧みに用いており、ジェダイをも圧倒するなど、印象深い場面が多い。 【劇中の活躍】 初登場はエピソードⅠ、通商連合のルクレハルク級母船「サカック」にて、ガンレイ総督の切り札として運用された。 副官ルーン・ハーコは当初「とうていジェダイには叶いません」などと泣き言を述べていたが、到着するやその防御力と攻撃力でクワイ=ガン&オビ=ワンのコンビを手も足も出させずに圧倒し、撤退に追い込んだ。 もしここで到着が少しでも遅れていれば、即ちガンレイの出撃命令が遅れていれば、彼らはここで逮捕されていたと思われる。 その後、ナブーの戦いでも活躍。 グンガン軍との戦いでは、序盤は投入されなかったものの(通商連合軍は投入する場所とタイミングを見定めていたと思われる)、登場とともに圧倒的な火力でグンガン軍を粉砕。 グンガンの大型シールド発生装置を破壊(*2)して、味方の戦車部隊の砲撃を可能とし、戦いの流れを変えた。 王宮の防衛戦でも、空港で登場してアミダラ女王たちの突入チームを圧倒した。 しかしアナキン・スカイウォーカーが飛行機を起動し、その砲撃によってシールドごと破壊されてしまう。 これで終わったと思いきや、十字路で再び出現。突入部隊を前後左右から包囲してパドメ一行を捕縛するという活躍を見せる。 しかし、その後中央コントロール装置を積んでいた母船「ヴーチュン・パーラ」(サカックから指揮権移譲)が撃沈されたため、ほかの機体とともに機能を停止した。 エピソードⅡでも、通商連合が独立星系連合に参加したことで提供されて登場するが、これはEP1に登場したものよりも旧式らしい。 エネルギーの燃費も悪いらしく、また味方の多い乱戦ということもあって、シールドを展開する場面はほぼない。 しかし、数機編成のドロイディカがコルサントに通信中のオビ=ワンを発見して捕縛する、 ジャンゴ・フェットが七体のドロイディカを引き連れてアナキンを包囲し、彼を捕虜にするなどの活躍も見せる。 このときアナキンはライトセイバーを失っていたのもあるが、ドロイディカを見て抵抗をあきらめていた。 エピソードⅢではグリーヴァス将軍の旗艦インヴィジブル・ハンドの船内や、惑星ウータパウの本部などに姿が見られる。 特に船内の戦いでは、三機がシールドを張りながらアナキンとオビ=ワンのコンビを襲撃し、一方的な攻撃を展開した。 しかし彼らがエレベーターに待避してしまったため、追撃を断念する。 ウータパウではマグナガードを撃破したオビ=ワンを攻撃しようとしたが、グリーヴァス将軍に止められてしまった。 あとは目立った活躍を見せないまま、ダース・ヴェイダーにより機能停止させられている。 カートゥーンアニメ「クローン大戦」ではおびただしい数の機体が登場したが、本編よりもすさまじいヨーダのフォースによってまとめて持ち上げられて爆破されたり、船ごと粉砕されたりしていて、扱いが悪い。 CGアニメ「クローンウォーズ」では、さすがに「大戦」ほどではないものの撃破される様子が目立ち、接近しすぎたためライトセイバーをシールドのなかで起動される、回転移動中を切られる、シールドの下に潜り込まれる、ロケット弾を撃ち込まれる、などの描写がある。 しかし、それでも登場のたびにアソーカ・タノの表情が強ばったり、姿を見るや逃げろと叫ぶなど、ほかのドロイドとは格の違う強敵としても描かれていた。 戦後になってもその強さは依然として一線を張れるものであり、帝国軍や海賊団なども使用し、いずれも猛威を振るっている。 特に帝国は、わざわざ新規生産や新型の開発を行ったほどである。 レジェンズ小説「生存者の探索」でも戦闘民族ヴァガーリがかつて移民船アウトバウンド・フライトから調達したドロイディカが登場。 幸い起動に成功したのは1体だけであり、最終的には破壊されたものの、当代最強のジェダイであったルーク・スカイウォーカー夫妻を大苦戦させ、マラ・ジェイド・スカイウォーカーからは「一体だけでも手に余る」と評された。 撃破方法も「一瞬の隙をついてシールド内部にライトセーバーを潜り込ませフォースで起動」というおいそれとは真似できない手段であり、その厄介さは健在であった。 また同作において、一部の開拓惑星では猛獣対策としてドロイデカが未だ現役であることがルークから言及されている。 【余談】 実は設定が二転三転したキャラでもあり、名前も「ホイール・ドロイド」「デストロイヤー・ドロイド」「ドロイディカ」「ドロイデガス」の4つもある。 特に名前については不明瞭で、いちおう「撮影直前までデストロイヤー、撮影開始直後にドロイディカに決定した」とされるものの、映画本編では(「エピソードⅢ」や「クローンウォーズ」でも)両方の呼び名が使われている。 また、表記揺れも激しく、公開当時のパンフレットやスターウォーズの日本公式サイトでは「ドロイデカ」とされている一方、ゲーム「STAR WARS バトルフロント」などでは「ドロイディカ」だったりとはっきりしない。 エピソードⅡのパンフレットにおけるメカニック解説コーナーでも、この辺のややこしさを踏まえてか「ドロイデカ(デストロイヤー・ドロイド)」と表記されている。 「ドロイデガス」は「Ⅰ」日本語訳でガンレイ総督のセリフとして登場するが、これについては「ドロイディカたち(droidekas=ドロイディカズ)」という複数形を、一つの名詞と読み違えたというのが定説。 ドロイディカの設計・製造を担ったのは昆虫種族の「コリコイド」。 見た目のスタイルや、危機が迫ると体を丸めて回転する特性も、コリコイドの生態に由来する。 通商連合は高価なドロイディカを大量発注するにあたり、コリコイド族の大好物、”肉”を大量に贈って格安で売ってもらったという設定もあった。 (一応、安物ではなく高価な種類の肉らしい) またコリコイドとはその後も良好な付き合いを維持できており、クローン大戦では彼らも独立星系連合に参加。 戦闘機「ドロイド・トライ=ファイター」も新規に開発・投入している(つまりドロイディカとトライ=ファイターは兄弟機となる)。 このコリコイドの設定のうち、ドロイディカやトライファイター、それに肉関連は、現在もカノン分類である模様。 ハーコ「いままでに項目を追記・修正なさったご経験は……」 ガンレイ「いや無い。無いが……パソコンを展開しろ!」 「その程度ではとても……」 「『項目変更』ボタンを押せ!!」 「とうていWiki籠もりには叶いません……」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 次はドゥークー伯爵と考えてはおりますが、まだクローンウォーズを全部見てないので、そちらは見終わってからということで……(映画・カートゥーンアニメ・小説からの本文はほぼ完成) -- 作成者 (2019-02-22 00 06 48) アナキンとアソーカがやってた「一旦逃げてからホイール状になって追っかけてきたところで反転しライトセーバーで切り倒す」って戦法は有効なんだろうけど精々1~2体くらいの時しか使えないよな -- 名無しさん (2019-02-22 00 09 22) いわば、強い雑魚。レゴスターウォーズではデストロイヤードロイドとして商品化されてたから、この名前の方が馴染みがある。 -- 名無しさん (2019-02-22 00 25 01) ごめん、突然この名前を見ると思わなかったから吹いたわ。スピンオフのゲームにはディスペンサーが出てきて、どんどん誕生する地獄絵図が。でもクローンのエリート部隊にかかれば飛びかかってグサーで壊れるという弱さを見せつける、そんなカワイイやつだよね、ドロイディカ。 -- 名無しさん (2019-02-22 00 31 54) 映画だと言及されないけど、B1と違ってこいつらはジオノーシアンや分離主義派開発のドロイドじゃないんだっけ -- 名無しさん (2019-02-22 00 37 33) ↑レジェンズの設定だと、コリコイドというドロイディカに似た(というか似せて作った)種族の開発ですね。報酬は生きた肉で支払ったとか。 -- 名無しさん (2019-02-22 00 44 19) 作成乙です。汎用性には欠くけど、狭い通路とかでの屋内戦では無類の強さを誇るからな。次の項目にも期待しています -- 名無しさん (2019-02-22 03 16 04) 侵入者を殲滅するのには最強。新三部作だけ見た限りではマグナガードより恐ろしく感じる。そして地味に可愛い -- 名無しさん (2019-02-22 09 20 09) 初めて見た時は形状と攻防の隙の無さにアインラッドを思い出した -- 名無しさん (2019-02-22 20 42 24) ゲーム版EP1では山ほど出てくるけどシールド解除されるまでひたすら遠距離ブラスターぶっぱしか手が無かったな。サーマルグレネードやプロトンミサイルランチャーは大して効かんわ投げてる間に撃たれまくるわで話にならんし -- 名無しさん (2019-02-23 01 59 03) 機体形状とかをもっと煮詰めて汎用性高くしてたらもっとヤバかったのだろうか -- 名無しさん (2019-02-23 02 18 35) 派生型で狙撃特化型のシャープシューター・ドロイデカがいたりする -- 名無しさん (2019-02-23 02 28 28) シールドの代わりにリパルサーリフトをつけるとかは、ないだろうなぁw -- 名無しさん (2019-02-23 07 54 43) ゲーム版EP3だとそんなに強くなかった記憶。どうやって倒したかは覚えてないが -- 名無しさん (2019-02-23 09 13 54) ドロイディカにチノ=リがある地形とはいえ、アナキンとオビワンが逃げ一択っていう時点で恐ろしすぎる。今だったら専用エンカウントBGMがあるレベル -- 名無しさん (2019-03-28 17 43 28) 個人的には「ドロイディカ」よりも「ドロイデカ」表記の方が馴染みがある -- 名無しさん (2020-01-15 21 18 46) 当時のパンフにはドロイディカって書いてあった気がする -- 名無しさん (2020-01-26 18 57 52) LEGOとか、当時のオモチャはデストロイヤー・ドロイド表記で統一されてたはず -- 名無しさん (2020-01-26 19 06 28) アニメ作品では、クローン戦争を生き残った(いささか老朽化した)機体がウォーカーと戦ったりしてたね。戦闘力の優秀さを見せつけたな。 -- 名無しさん (2020-04-21 16 43 29) ゲームのBF2だとまさしく移動砲台といった運用法になる。チノ=リを得たドロイディカはメチャ強い -- 名無しさん (2020-08-13 17 52 07) セントリー・ガンに喩えている表現が熱い -- 名無しさん (2020-08-13 19 13 31) こういう特殊な環境下で異様に強い量産型歩兵ロボっていいよね…ロマンあるよね… -- 名無しさん (2020-09-04 15 51 22) 分離主義側がドロイディカ呼びで共和国側がデストロイヤー呼びでいいのかな? -- 名無しさん (2020-09-07 14 17 22) 歩兵サイズにまでダウンシングした戦車だわな クローン・ウォーズだと正面からは戦えないが、側面からなら楽勝って描写 実写だと出た瞬間に撤退するしかないって絶望しかない -- 名無しさん (2020-09-07 16 55 36) スターウォーズ界のパンジャンドラム...... -- 名無しさん (2020-09-07 17 43 31) お肉と引き換えで作ってもらったとかいう設定可愛くて大好き -- 名無しさん (2020-10-19 22 08 14) ↑2 パンジャンドラムなんかとは比べるのも失礼なぐらい優秀だろ!いい加減にしろ!(声だけ迫真) -- 名無しさん (2020-10-19 22 10 17) 開発費とかまで含めたらIG-88の方が高価かも。あと、スーパー戦術ドロイドも配備数の少なさからしてドロイディカ以上に高価かもしれない -- 名無しさん (2020-12-29 05 50 50) PS2版バトルフロント2は上手いことこいつの性能をプレイアブルキャラに落とし込んでたなぁ。映画の性能ちゃんと再現した強さなんだけどホイール移動時はめっちゃ無防備だしシールドもブラスターもすぐにオーバーヒートするしでいい意味でちゃんと使いづらくなってる -- 名無しさん (2020-12-29 09 16 42) ↑と、おもーじゃん? -- 名無しさん (2021-05-19 13 58 56) ↑ごめん、続き。実際のところはホイール形態は大幅なダメージ軽減が追加され、目標のコンピューターをハッキングしたり爆弾を設置したりできるのと、敵の後ろに回り込んでいい感じの物陰で変形すれば簡単に挟撃ができるようになったりと、わかってる人が使えばものすごいぶっ壊れになる。 -- 名無しさん (2021-05-19 14 01 04) 吹き替えだとドロイデカスって呼ばれてた -- 名無しさん (2023-01-26 19 04 29) レジェンズ設定だと、新共和国時代にも生産は続いてて、一部の開拓惑星で入植者が猛獣対策に使ってるらしい -- 名無しさん (2023-08-04 08 44 11) コスパいい代わりにポンコツか、強い代わりに金かかって極地的にしか使えないみたいな両極端なんだよなドロイド軍。ミドルプライスでそこそこ汎用性もある機体が欲しくなる -- 名無しさん (2024-02-18 05 16 16) 名前 コメント
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登録日:2022/02/03 Thu 12 00 00 更新日:2024/02/26 Mon 18 59 10NEW! 所要時間:約 25 分で読めます ▽タグ一覧 EP2 STAR_WARS SW ありそうでなかった項目 クローントルーパー ジャンゴ・フェット スター・ウォーズ トゥルーマンダロリアン ドゥークー伯爵 ボバ・フェット マンダロア マンダロリアン 分離主義勢力 名誉 独立星系連合 賞金稼ぎ 金田明夫 「宇宙に自分の足跡(そくせき)を残しておきたくてな」 【概要】 ジャンゴ・フェット(Jango Fett)とは、スター・ウォーズ・シリーズの登場人物。 銀河共和国のクローントルーパーの原型となった人物でもあり、ボバ・フェットの父親(クローン元)でもある。 映画本編ではEP2のみの登場だが、人気キャラ・ボバの父親という立場や、映画での活躍などから人気は高い。 【概要】 【人物】◆種族 ◆性格 ◆能力 【経歴】◆前歴 ◆トゥルーマンダロリアンのリーダー ◆賞金稼ぎへの転身 ◆バンド・ゴラ追跡 ◆クローントルーパー計画 ◆カミーノの生活 ◆パドメ・アミダラ暗殺指令 ◆オビ=ワン・ケノービとの戦い ◆ジオノーシスの戦い ◆死後 【余談】 【人物】 ◆種族 「今度こそ確実に仕留めねば。クライアントがいらついてる」 戦闘民族マンダロリアン出身の賞金稼ぎ。 長年にわたって修羅場を潜り抜けており、顔にも多くの古傷が刻まれている。 また前腕には刺青を彫っている。作中世界でも珍しいデザインと評判らしい。 髪と目の色はいずれも黒。 戦闘時には、青と銀のマンダロア装甲服を全身にまとう。 実は背丈はあまり高くなく、オビ=ワンとの会話シーンでもジャンゴの側が見上げている(*1)。 言語は主にベーシック(銀河系標準語)を使うが、もちろんマンドア語も習得している。EP2でボバにマンドア語で話しかける場面がある。 ◆性格 「最高の軍隊だ。俺が保証する」 レジェンズ設定ではYBB66の生まれ、つまりEP2では44歳となっている(カノンでは「不明」)。 そのためEP2ではいい大人となっており、基本的に穏やかな口調で他者と会話している。 ただし依頼に対しては真摯で、その実現のためなら暗殺・不意打ちも平気で行うし、助けられないと見れば長年付き合ったパートナーを切り捨てることさえ辞さない。 実力がすなわち資産となる辺境域・暗黒街で、荒事を生計にして過ごしているため腕っぷしは強く、その実力に見合ったプライドを持ち、状況によっては相手を圧迫・恫喝もする。 荒事を卒業できるほどの資産がありながら、結局足を洗って平和に生きるという発想に至らず、荒事を続けるあたり、命を使うギリギリの境涯を好む、好戦的な一面もある模様。 ただ、カノン分類作品「クローンウォーズ」で登場した旧友ホンドー・オナカーの発言によると「なによりも名誉を重んじて行動した」という。 基本的に賞金稼ぎは暗黒街の人間であり、欲望のために荒っぽい手段・卑劣なふるまいも好んで取るということで、多くの人から疎まれる(オビ=ワン曰く「誰だって嫌い」)のだが、 ジャンゴはそれだけではなく、精神性を重んじるところもあったようだ。 実際、「デスウォッチ」首領プレ・ヴィズラのような野蛮さを見せることはなく、EP2ではどちらかと言うと物静かな雰囲気も出していた。 ……まあいくら「名誉を重んじる」とは言っても「騎士道精神を持つ」とかいうわけではなく、あくまでも「賞金稼ぎ・傭兵としての名誉」であり、手段に関してはそれこそ暗殺・不意打ち何でもありだし、ロクでもない奴と見做せば平気で殺しもするが。 また「息子」ボバのことは深く愛しており、自分の持てる知識を教え込み、その成長を喜ぶ親らしい一面も持つ。 レジェンズ分類となった過去作品では、普段はそっけない態度を取りつつも恩師や仲間のことを大事に思い、そうした恩師を裏切り仲間に危害を加えた相手に、激しい憤怒を燃やす一幕もあった。 ◆能力 「俺が最強だ。常にな」 マンダロリアンのメンバーとして、指折りの戦闘能力を持つ。 なによりジャンゴを強者と位置付けているのは、彼がマンダロリアンの装備をフルに駆使する技量があるからだった。 主な装備は、マンダロリアンの典型的な戦闘服。 彼の鎧は美しいシルバーと青い縁取りが印象的なもので、クローンウォーズ等で登場したほかのマンダロリアンに比べても色彩が鮮やかになっている。 武器としては、二丁のブラスターを主力として、右前腕部の火炎放射器、左前腕部の捕獲用ロープ発射装置(*2)、背面部には飛行用のジェットパック、ジェットパックに搭載するミサイル(*3)、両方の前腕部に装着するナイフ(スパイク兼用)、といった多彩な武器を仕込んでいる。 火炎放射器を応用して薄い隔壁やシャッターを焼き切るのに使ったり、ジェットパックが使えない場合には捕獲用ロープを応用して障害物を乗り越えたり、と機転も利く。 愛用のブラスターは軽量化のため徹底的に肉抜きを行っており、片手でも素早く抜け、かつ射撃中にわずかずつ手首を動かして射撃軸を変えることができ、この技でジェダイの「射軸の先読み」さえも突破して射殺できる。 しかしこの「徹底的な肉抜き」の結果、構造が脆くなったようで、すぐ壊れるらしい。 もっとも特徴的なのは背中に背負うジェットパック。 強力なロケット噴射装置によって、ごく短期間ながらかなりのスピードで空を飛べる。 劇中では、敵の追手から逃れるための緊急離脱用や、空中に滞空しての爆撃用などで活躍した。 特に一対一での戦闘においては、普通の相手が地上を走ることでの二次元的な戦いになるのに、ジャンゴは任意に飛行・浮遊することで三次元的な戦いを強いることができ、敗色濃厚となれば容易に離脱もできるため、ジャンゴを強力な戦士とする要因になった。 またジャンゴはこのジェットパックを複数所持しており、カミーノで喪失した直後のジオノーシスですでに新しいジェットパックを装着していた。 ただ、このジェットパックは精密機械のため、ダメージに弱く、損傷によって機能不全に陥りやすい。 そしてジャンゴの戦闘は、良くも悪くもこのジェットパックに依存する傾向にあり、それが彼の命脈を断つことにもなった。 また、装填できる燃料には限りがあること、ジェットパックを使った戦闘は着地が難しいこと、下手すると高所から墜落して大ダメージを負いかねないこと、といった難点も多い。 そのほか、ヘルメットに遠視用カメラを装着したり、開錠用のピッキングツールを所有したりと、さまざまな装備を備える。 所有する宇宙船は「スレーヴI」。 これは、任務中に侵入した監獄施設に配備されていた宇宙船を強奪したもの。 命名はジャンゴ自身が行ったのだが、その意味は「奴隷一号」であるため、聞いた友人からは「ひどい名前付けたもんだねえ!」と呆れられた。 なかなか強力な船なのだが、着陸時には機体を直角に90度傾けて着陸する、という奇妙な船のため、乗り降りは難しそうである。 また出入り口のハッチが上下に微妙に狭いため、ジャンゴは思いっきり頭を打ってしまう場面があった。 本船はジャンゴの死後、ボバの愛機となった。 ボバ幼少期は、ボバの後見人となったオーラ・シングに貸与されていた時期もある。 「スレーヴI」入手前は「ジャスターズ・レガシー」と名付けた旧式宇宙船に乗っていた。 これはジャンゴの養父ジャスター・メリールの乗っていた船で、ジャンゴは養父の遺産を旧式のボロ船と分かっていながら愛用し続けた。 しかしバンド・ゴラ追跡中、攻め込んだ監獄施設で発見され、警備隊によって破壊される。 その代替として奪ったのが上記の「スレーヴI」。 「ジャスターズ・レガシー」といい「スレーヴI」といいネーミングセンスは悪いのかもしれない 【経歴】 ◆前歴 「近くの町まで、案内するよ……食料やパワーセルを買うなら、奴らはそこにいるはずだ……」 YBB66生まれ。出身はマンダロア星系の惑星コンコード・ドーン。実家は農家兼ジャーニーマンプロテクター(コンコード・ドーンにおける警察のようなもの)で、父母のほかに姉がひとりいた。 しかし当時のマンダロア星系では、「マンダロリアン内戦」という激しい内紛が勃発していた。 事の発端は、マンダロアの戦闘文化を巡る対立である。 詳細は マンダロリアンの項目に譲るが、 マンダロリアン古来の、破壊・殺戮・略奪を肯定する伝統保守派「デスウォッチ」 破壊だけではない、高度な規律を備えた名誉ある戦士文化を提唱した「トゥルーマンダロリアン」 戦闘文化そのものを否定し、非武装・完全平和主義を提唱した「ニューマンダロリアン」 の三つの思想グループが現れ、お互いを否定しあい、際限なき内戦に陥っていたのだ。 ジャンゴを含むフェット家は、故郷の惑星コンコード・ドーンで農夫をしていたが、心情はトゥルーマンダロリアンを支持していた。 そんなとき、トゥルーマンダロリアンの首領ジャスター・メリールと、彼を殺そうとするデスウォッチの首領トア・ヴィズラの部隊が、フェット家の農地で交戦。 フェット家はジャスターをかくまって逃がしたが、それゆえにデスウォッチの部隊に踏み込まれ、両親は殺害され姉は拉致される(ヴィズラの言動から殺されたと思われる)。 生き残ったのはジャスターたちを農地の灌漑水道に誘導していたジャンゴだけで、ジャスターは「自分たちを助けてくれた家族の忘れ形見」となったジャンゴ少年を自らの養子として、マンダロリアンに迎え入れた。 やがてジャンゴは、持ち前の機敏さと戦士の才能を開花させていき、また養父ジャスターがトゥルーマンダロリアンのリーダーということもあって、いまだ少年ながら有望な幹部候補生として、成長していった。 ◆トゥルーマンダロリアンのリーダー 「総督に報告してくる。暴動は終わったのだ、報奨金を支払ってもらわねばな……」 しかしBBY52、惑星コルダ6の戦いで、トゥルーマンダロリアンは現地政府と結託したデスウォッチの罠に嵌り大敗、養父にしてリーダーであるジャスターも戦死する。 ジャンゴは、危機に陥った養父をわざと見殺しにしたモントロスを弾劾して彼を追放させ、代わって自らがトゥルーマンダロリアンのリーダーとなった。 ちなみにこの時14歳だが、マンダロリアンでは成人と見做される年らしい。 しかし、トゥルーマンダロリアンの武運はやはり尽きていたのかもしれない。 コルダ6でジャスターを討ったデスウォッチは、トゥルーマンダロリアンを追い落とす謀略に、さらなる磨きをかけていたのだ。 彼らが動いたのは44BBY。EP1の12年前である。 ジャンゴは当時22歳。若さゆえの力はあっても、老獪さを身に付けたトア・ヴィズラの謀略を読み切るには、まだ若すぎたのか。 デスウォッチは、まず銀河各地で派手な破壊活動・殺戮を繰り広げる。しかも、それをトゥルーマンダロアの軍隊であるかのように見せかけていた。 分裂しても同じマンダロアである。兵器も共通しているし、誤認させるのは容易だったろう。 そしてそのうえで、ひそかに結託していた惑星ガリドラーンの政府に、銀河共和国に向けて「マンダロア軍が罪もない民間人を殺害している。もはや現地政府では手に負えない。銀河共和国のジェダイ部隊の派遣を請う」と言わせた。 同時に、惑星ガリドラーン政府はトゥルーマンダロリアンに連絡を取った。「惑星ガリドラーンで、反体制テロリストが暴れている。高度な規律を備えた傭兵部隊であるトゥルーマンダロアに、救援を依頼したい」と。 これで銀河共和国とジェダイ騎士団は「トゥルーマンダロアの討伐」を決意。 惑星ガリドラーンの雪原にて、ジェダイマスター・ドゥークー率いる精鋭ジェダイ部隊が、その場にいたトゥルーマンダロアの部隊を攻撃した。 (この時のジェダイ部隊のメンバーは、ドゥークーと彼の直弟子コマリ・ヴォサのほか、ジョカスタ・ヌーや評議員入りする前のメイス・ウィンドゥらしき人物もいる) ジャンゴもジェダイを数名討ち取るほどに暴れたが、ついに敗北して捕縛され、トゥルーマンダロアはここに滅亡した。 ◆賞金稼ぎへの転身 「ジャンゴ。ねえ、あんた働き過ぎよ。もう賞金稼ぎなんてやめなよ。おカネならあるだろ? どうして身を固めて落ち着こうとしないのかねえ? 人生は短いんだよ!? 別の仕事だってあるさ!」 「俺にはこれしかないんでな。…………」 惑星ガリドラーンで虜囚となったジャンゴだが、彼ほどの男が奴隷で満足するはずがなく、隙を見て脱走。 さらに自分をハメたガリドラーンの総督も尋問し、彼が飾っていたマンダロリアンの装甲服も奪還(*4)、デスウォッチの頭目トア・ヴィズラの居場所も聞き出した。 ジャンゴは惑星コレリアでとうとうヴィズラを見付け、死闘の果てについに彼を討ち取った。 しかし復讐こそ済ませたものの、ジャスターが理想を託したトゥルーマンダロアは全滅してもはや復興は絶望的となり、他方のデスウォッチもトゥルーマンダロアとの戦いで戦力を使い果たし、壊滅同然となって姿を消してしまった。 結果として本星マンダロアは、平和主義勢力「ニューマンダロリアン」が支配下に置くことになった。 ここに至り、ジャンゴはマンダロリアンとしての道を半ば諦めたようである。 彼はもう故郷には戻らず、銀河の闇社会に身を沈め、賞金稼ぎとして身を立てるようになった。 もともとマンダロアは(デスウォッチを含めて)強大な戦力を持つ傭兵として活躍してきた歴史がある。 またジャンゴは、短い期間ながらも一派の長として、いくらかの依頼も受けてきた。 そのため、銀河辺境域ではすでに幅広い名声と人脈を持っており、その高い実力も相まって、銀河指折りの賞金稼ぎとして知られるようになっていった。 同業者たちにも一目置かれる存在となっており、ホンドー・オナカー、キャド・ベイン、オーラ・シングなどの錚々たる人物とも親交を持った。 暗黒街の元締めの一人でもある女性トイダリアンのロザッタという人物とは特に親しく、彼女の拠点「アウトランドステーション」にはよく出入りし、彼女から仕事の依頼や情報支援などを受けて、活動していた。 一方、かつて養父から授かった「高い規律を持った戦士の教え」は忘れていなかったらしい。 具体的なことは不明だが、後年のホンドー・オナカーは「ジャンゴが一番大事にしたのは名誉だった」と述懐している。 ◆バンド・ゴラ追跡 「俺を雇ったのはティラナスってやつだ。ボクデンの月でな」 32BBY、遠く惑星ナブーで通商連合との間で紛争が起きた年。 ロザッタおよびジャンゴのもとに、「ティラナス」を名乗る老人から依頼が届いた。 目標は麻薬密売組織バンド・ゴラの女リーダー、コマリ・ヴォサ。懸賞金額は500万クレジット。生死は問わず。 500万クレジットとは暗黒街でも破格のレートだが、コマリ・ヴォサが相手となるとロザッタまでもが受諾に反対。 しかしジャンゴは、返り討ちにあっても構わんと言わんばかりの態度で依頼を請け負った。 実働役のジャンゴが動くならしょうがない、とロザッタも参加し、バンド・ゴラの流通させている麻薬の成分や販売網を探って、後方支援を開始。 ジャンゴは直接現地に赴いて調査、抵抗があれば排除しつつ、コルサントからタトゥーインまで各地を巡り、ガーデュラ・ザ・ハットを筆頭とするバンド・ゴラのネットワークを探り潰していった。 変身種族クローダイト出身のザム・ウェセルと出会ったのも、この追跡途中である。 しかし、ティラナスからコマリ討伐依頼を受けたのはジャンゴだけではなかった。 もう二十年も前、惑星コルダ6の戦いでジャスター・メリールを裏切った、あのモントロスのもとにも、ティラナスからの依頼が来ていたのだ。 同じ組織の出身者が、同じ目標を狙って、同じ手口を使っていれば、再会するのは当然だった。 ジャンゴ、モントロス、バンド・ゴラの三つ巴の戦いの果てに、ロザッタがモントロスに襲撃され、拷問の果てに命を落とす。 普段はつれない態度を取りながらも、心の奥底ではロザッタを愛していたジャンゴは、養父に続いて二重の怨敵となったモントロスに激怒。 ついに到着したバンド・ゴラの本拠地、惑星ボグデンの衛星コルマにて追いつき、決闘の果てにモントロスを惨殺する。 そしてその先のバンド・ゴラの居城に攻め込み、暗黒面のフォースと二本のライトセーバーを振るう女ダークジェダイ、コマリ・ヴォサと交戦。 一度はフォースの力によって捕縛されるが、ザム・ウェセルによって救出され、反撃を開始。 城の最奥の瞑想室にてコマリと交戦し、ついに彼女を撃破した。 ◆クローントルーパー計画 「……申し出を受けようティラナス。ただし条件がある」 その直後、コマリ・ヴォサがより強力なフォースによって絞め殺された。 いぶかしむジャンゴの背後に、依頼主だったティラナス――俗名ドゥークー、コマリの元マスターだった老ジェダイが現れる。 「ティラナス」は、コマリ暗殺依頼の報酬500万クレジットは鷹揚に支払ったが、それとは別に「もう一つの依頼」を提示した。 曰く、ティラナスはこのたび、クローン技術による最強の兵団を作るつもりである。そのクローン兵団のベースとなる遺伝子をジャンゴに提供してもらいたい。かつての我が愛弟子コマリ・ヴォサを打ち破るほどの男こそ、最強のクローン兵団の始祖にふさわしい、と。 ジャンゴは、クローン軍団やクローニングによる疑似的な永遠の命とやらには関心が無いようだったが、ティラナスの話から「一つの条件」を提示する。 「自分用に一体のクローンを作ってほしい、一切調整しない、純粋なクローンを」と。 ティラナスにも予想外の願いだったようだが、ジャンゴが理由を語ると、納得して「クローン契約」を結ぶことになった。 その「純粋なクローン」を、ジャンゴは「ボバ・フェット」と名付け、自身の息子とした。 ジャンゴの表情から察するに、ティラナスの演説のうち「クローン兵団はジャンゴが訓練をつけることもできる」という言葉に反応している。ロザッタも死に、女を抱いて子供を作るつもりもないが、ロザッタの遺言に思うところがあり、こういう形でも「息子」「家族」を作れれば、何か変わるかもしれない、と思ったのだろう。 ちなみに「自分用の純粋なクローン一体を貰う」というのとは別に、ティラナスが最初に提示した「クローンの遺伝子提供者になってくれるなら追加報酬」という条件も、ちゃんと付帯されている。 その追加報酬のお値段は2000万クレジット。コマリ討伐と合わせて、総計2500万クレジットがジャンゴの口座に振り込まれたのである。戦艦でも作れそうな額だが、それをポンと出せるセレノー伯爵家の富裕さもすさまじい。 さて、ここまでのジャンゴの経歴のうち、ここまでの部分はもっぱらレジェンズ分類作品で語られた。 こうした設定のうち、カノン設定にどれほど残っているかは不明であるが、カノン作品に分類されたものおよびカノン分類として制作された近年の作品に限っても、 「マンダロア星系の惑星コンコード・ドーンの出身」 「マンダロリアンのファウンドリング(孤児)として育ち、ジャスター・メリールの養子となった」 「マンダロリアン内戦にも参加した」 「その行動や精神は『名誉』を重んじた」 「ボグデンの月でティラナスと遺伝子提供契約を結び、この一件で巨万の富を得た」 以上の点が明確に再設定されている。 ここからの部分は、映画EP2を中心として原則カノン分類の情報である。 ◆カミーノの生活 以後のジャンゴは、惑星カミーノの首都ティポカシティに移り住む。 ティポカシティーは十数年前にヒーゴ・ダマスク(去年没した)という資産家によって莫大な投資を受けており、設備はどこも最新鋭、住民も礼儀正しく、いろいろ人間には合わない点こそあれ、裕福と言っていい生活ができた。 ジャンゴ自身の資産についても、なにせ2500万クレジットを手にしたばかりである。今やジャンゴは、一生贅沢しても使いきれないレベルの金持ちなのだ。 しかしジャンゴは、そんな完璧な生活基盤を手にしながらも、ふらりとカミーノを離れては再び暗黒街に戻り、賞金稼ぎの仕事を続けていた。 稼ぐ必要もないほどのカネを持ちながら、修羅場を忘れられないようだった。 ただ、このころのジャンゴの側には常にボバがいた。 ジャンゴはボバを使い捨てのクローンではなく弟子・息子として遇し、自分の持っている戦士のスキルや知識を伝授していった。 賞金稼ぎ稼業を続けたのも、自分が戦いを忘れられないというのもあっただろうが、実戦を通じて息子を育てようとしていたようである。 そしてそうした生活を送るうちに、ジャンゴはボバに対して「息子」「家族」としての愛情を抱くようになる。 ザム・ウェセルとの縁も続いた。 彼女は賞金稼ぎとしてはまだ経験が薄かったため、いわば先輩となるジャンゴと組み、彼から支援を受けたり、あるいは知識・技術・心構えなどを伝授してもらいながら、経験を積むようになった。 彼女は割と明るい性格なので、幼いボバとも打ち解けたらしい。 ティラナスとの縁も続いた。 ティラナスは「ドゥークー伯爵」として、水面下で分離主義運動を開始しており、ジャンゴはティラナスの護衛兼助手として、暗黒街の組織や銀河系に名だたる大企業・大組織と接触していった。 その過程で、企業側からの極秘依頼を頼まれることもあった。 そしてカミーノに戻れば、ジャンゴは「クローントルーパー」と名付けられた自分の分身たちに、遺伝子と軍事知識を授けていった。 特に、「銀河最強の戦闘民族」マンダロリアンの戦闘技術は、クローントルーパーの戦闘能力を大きく引き上げた。 カミーノ人は見ての通り肉体が貧弱で、戦闘技術などは持っていなかったため、ジャンゴの功績は非常に大きかった。 もっとも、クローントルーパーは常人の二倍の速度で成長するとはいえ、生後五年ぐらいでは人間換算でも十歳程度であり、戦闘知識なぞ授けようもない。 そのためこちらはすぐには始まらず、後回しにされたと思われる。 クローントルーパーの戦闘服も、ジャンゴの持つマンダロリアンの戦闘服をアレンジしたものとなった。 この鎧は、はるか後年のストームトルーパーにも影響を残している。 とにかく、このころのジャンゴは以前と変わらず賞金稼ぎとして修羅場をくぐり続けていた。 既に巨万の富を持ち、賞金稼ぎなどという荒仕事から引退するだけの余裕があるにもかかわらず、足を洗わない姿は、本心を語らない無口さも相まって、他の賞金稼ぎから奇異の目で見られていた模様。 しかし「変わらない賞金稼ぎ」であるジャンゴも、内面では徐々に変わっていく点もあった。 特に、息子ボバとの縁が深くなるにつれ、かつてのどこか荒んでいた精神は徐々にだが丸くなっていったらしい。 ◆パドメ・アミダラ暗殺指令 「ザム。今度はしくじるなよ」 22BBY、ナブー危機およびバンド・ゴラ崩壊から十年。 ジャンゴ・フェットは新たな依頼を受けた。 目標は銀河元老院議員パドメ・アミダラの暗殺。依頼主は通商連合の総督ヌート・ガンレイ。 もともとガンレイは、ドゥークーが主導する「分離主義勢力」に加盟を求められていた。そこで彼は「加盟してほしいなら、まずはパドメ・アミダラを暗殺してくれ」とドゥークーに依頼し、ドゥークーはそれをジャンゴに仲介した、という次第。 この頃にはジャンゴはドゥークーから全幅の信頼を置かれていた。 依頼を受けたジャンゴは、まずは今や相棒に近いザム・ウェセルを招いて、いわば下請けにする形で、彼女に仕事を回した。 ザムは変身能力と潜入技術を駆使して惑星ナブーに忍び込み、パドメ議員の専用宇宙船に爆薬を仕掛けることに成功した。 ところが、パドメの警備主任グレガー・タイフォが影武者を立てていたため、宇宙船と影武者は爆破したものの、肝心のパドメは無傷。 ジャンゴはザムに接触し、任務失敗を叱責しつつも特殊な毒虫を授け、もう一度依頼を任せる。 しかしこの第二次暗殺も、パドメの護衛として増派されたジェダイ、オビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーに妨害された。 ジャンゴは逃げるザムをフォローするべくコルサントの歓楽街を駆け抜けたが、ついにザムはジェダイ師弟に敗れて生け捕りにされてしまった。 ジャンゴは、ザムの救出は不可能と判断し、彼女が口を割る寸前に毒矢を放ってザムを殺害。次いでジェットパックを吹かし、すぐさま現場を去り、コルサントからも去った。 毒矢を放った彼の姿はジェダイに目撃されたものの、全身を鎧兜で覆っていたため、この時点では顔が割れなかった。 ◆オビ=ワン・ケノービとの戦い 「踏ん張ってろ。小惑星帯に入る。奴に一泡吹かせてやろう」 一方ジェダイ側は、パドメの護衛は弟子のアナキン・スカイウォーカーだけが務め、オビ=ワン・ケノービが殺し屋の調査を開始した。 オビ=ワンはジャンゴが放った毒矢を解析し、それが惑星カミーノ製のものと把握。ジェダイスターファイターでカミーノまでやってきた。 カミーノ首脳部はオビ=ワンを歓迎しており、ジャンゴもオビ=ワンとの面会の場を持つ羽目になった。 が、ジャンゴはヘルメットを外した素顔でオビ=ワンと堂々応対し、オビ=ワンの質問もやり過ごした(*5)。 しかし自分の青い装甲服をここでも見られたこともあり、追及は避けられないと見たジャンゴは、ただちにカミーノからの脱出を決意。 離陸直前には、やはり引き返したオビ=ワンに挑まれる。シスの暗黒卿ダース・モールをも倒したオビ=ワンはさすがに手強く、またオビ=ワンがジャンゴとワイヤーで繋がっているのにジャンゴを崖から蹴り落とすという大ポカをやらかしたことで丸ごと落ちかけるが、なんとか前腕部に仕込んだナイフで崖に留まると、ワイヤーを切り落としてオビ=ワンを撃退し、カミーノから飛び立った。 そしてスレーヴIに乗り込む際に頭を強打する。 しかしオビ=ワンもさるもので、飛び立つスレーヴIに発信機を投げて取り付けていた。 ただちにオビ=ワンはスターファイターに乗ってスレーヴIを追い、追手に気付いたフェット親子も激しい迎撃を開始したが、オビ=ワンの撃墜反応を偽装と見抜けず、とうとう元締・ドゥークー伯爵のいる惑星ジオノーシスまで踏み込まれてしまった。 (もっともドゥークーにとっては、カミーノのクローントルーパーぐらいはそろそろ気付いてもらいたかったのだから、結果オーライとなった) ◆ジオノーシスの戦い 「動くな、ジェダイ」 ジオノーシスに帰還したジャンゴは、ドゥークーの護衛・助手という立場に戻る。 とはいえ、この時のドゥークーは分離主義勢力による連合国家「独立星系連合」の発足作業、つまり外交的な交渉作業に入っており、ジャンゴには「護衛」としても「助手」としても特にやることがなかった。休憩のようなものか。 カットシーンでは、ドゥークーの背後で護衛のように立つジャンゴの場面もあった。 また、パドメ暗殺依頼を連合加盟の条件とするガンレイ総督もここにいたが、ドゥークーの交渉の結果、パドメ暗殺が未達成ながらも、ガンレイは連合に署名した。 ジャンゴはこうしたドゥークーの鮮やかな交渉を感心しながら見ていたらしい。 ここまで追ってきたオビ=ワンも、ドロイディカ小隊が捕縛。 次いで、オビ=ワン救出のためアナキン・スカイウォーカーとパドメ・アミダラも到着するが、ふたりも工場の機械やジオノーシアン兵士たちに翻弄されたあげく、パドメはジオノーシアン部隊に、アナキンはジャンゴが率いるドロイディカ中隊に捕えられた。 その後、捕虜となった三名はジオノーシス政府主導のもと、ペトラナキ・アリーナでの猛獣による処刑が決定。 ジャンゴはボバを伴い、ドゥークー伯爵、ポグル・ザ・レッサー、ヌート・ガンレイらと共に、アリーナの貴賓席から処刑を見守った。 一応「護衛」という立場だが、ジャンゴはヘルメットも外してリラックスしており、むしろ貴賓客としての扱いだった模様。 ボバはアクレイに興味津々だった。 また捕虜たちが猛獣を圧倒し始めると、焦るガンレイからパドメを殺せと命令を受けるが、ドゥークーがガンレイをなだめて不発となる。 だがその宴席のさなか、突如ジャンゴの喉元に紫色の光刃が突き付けられる。 ジェダイ評議会の重鎮メイス・ウィンドゥ、そして彼を筆頭とする200人のジェダイ部隊が、オビ=ワン救出とドゥークー討伐のため現れたのだ。 しかし、対するドゥークーもバトルドロイド部隊を出撃させて応戦。 メイスがジャンゴやドゥークーから離れてドロイド迎撃の構えに移ると、ジャンゴもおもむろにヘルメットを被り戦闘態勢に。 ジャンゴはまず火炎放射器で目の前のメイスを貴賓席から地上へと追い落とす。 さらに乱戦中、ジェダイマスターのコールマン・トレバーがドゥークーを討つべく貴賓席へと上がり込むと、ジャンゴは素早くブラスターを抜いて攻撃。 わずか三発の連射で、コールマン・トレバーを射殺した。 この鮮やかな手並みにはドゥークーも満足げな微笑みを向けている。 そして乱戦のさなか、メイス・ウィンドゥがジオノーシスの猛獣リークに追われ始めたのを目撃すると、ジャンゴはジェットパックを噴射して出撃。メイスの眼前に現れる。 しかし、ちょうどメイスがリークにふっ飛ばされたライトセイバーを、奪うため飛びついたのがミスとなる。 飛びついた瞬間にメイスがフォースでライトセイバーを手元に呼び込み、ジャンゴは不様に地面に倒れる羽目になる。 さらにその倒れた体勢のままリークの突進に巻き込まれてしまい、ジャンゴは数メートルに渡って転がされた。 それでもなんとか立ち上がったジャンゴは、再突撃を掛けるリークに対して冷静にブラスターを撃ち込む。 放ったのはたった一発だったが、その一発は見事に急所を撃ち抜き、この巨獣にとどめを刺した。 だが、ジャンゴの命運もここで尽きた。 ジャンゴがリークに手間取っているあいだに、ライトセイバーを拾い直したメイス・ウィンドゥが下段に構えて突撃を掛けていたのだ。 ジャンゴはブラスターで迎撃するが、ジェダイ騎士団でも最強を誇るメイスは光弾をあっさり反射して肉薄。 ジャンゴはとっさにジェットパックで離脱を図るが、リークの突進で破損していたジェットパックは乏しい火花しか吹かなかった。 次の瞬間、紫の光刃が二閃し、ジャンゴの右手と頭部が、胴体から離れた。 ジャンゴの戦死を目撃したドゥークーはそれまで優雅に組んでいた腕が弾かれたように解けて穏やかな微笑が凍り付き、息子ボバは愕然と立ち尽くす。 程なくしてジェダイ部隊は敗北、間一髪でクローントルーパーの援軍が到着して、戦場は惑星全土へと移行し、アリーナから生きている人はいなくなった。 その跡地となった戦場で、ボバは父の頭も抜けてしまったヘルメットを、ひとり静かに拾い上げていた…… ◆死後 ジャンゴ亡きあと、孤児となったボバは父と縁故のあった賞金稼ぎたちを頼り、オーラ・シングらのもとで揉まれながら、暗黒街の賞金稼ぎとして大成していく。 父の遺した戦闘服も保存しており、ボバが成人後に着ていたボロボロの戦闘服は父のものである。 また父を殺したジェダイ、特にメイス・ウィンドゥへの憎悪をも募らせており、クローン大戦中には暗殺計画を練っている。 ドゥークーもジャンゴの息子ボバには思うところがあったのか、仕事を斡旋したり話を聞いたりしている。 一方、ジャンゴの遺伝子から作られたクローントルーパーは、自分たちの原型であるジャンゴが死んでもこれといった反応は見せなかった。しかし、彼から受け継がれる戦士の血に誇りを抱いており、作中でも『誇り高き戦士の血』『自慢の遺伝子』と彼のことを誇りに思っている描写が見受けられる。 一方、製造の面に関しては影響はあり、ジャンゴという遺伝子提供者がいなくなってしまったため、ジャンゴ型クローンの安定した新規製造ができなくなるという結果も生まれた。 【余談】 EP2でジャンゴがメイスに敗れた直後、ヘルメットが地面に転がり落ちるシーンに繋がる。 このヘルメットが落ちる寸前をコマ送りにすると、ヘルメットの影から別の物体の影が飛び出し、画面外に吹っ飛んでいくのが確認できる。 ボバが拾い上げるヘルメットは、中身が入っていない模様。 「クローンウォーズ」にて、惑星マンダロアのニューマンダロリアン政府が登場した際、ジャンゴ・フェットとの関わりを一切否定した。 それはいいのだが、この際に「フェットは単なる賞金稼ぎ、どこかでマンダロリアン・アーマーを盗んで手に入れたのだろう」と発言する場面があった。 そのため、一時「ジャンゴ・フェットはマンダロリアンではない」という説まで浮かび上がっていた。 ニュー政府がそんな発言をした真意は不明だが、少なくともジャンゴは「ニューマンダロリアンの一員」だった時期は存在しないため、政府側が中途半端な断言をしたものと思われる。 現在は、「ジャンゴはジャスター・メリールの養子として入ったマンダロリアンである」と定義されている。 「これからどうすんの?」 「端末だ。追記・修正をする」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 追々、ジャスター・メリール、トア・ヴィズラ、モントロスも投稿予定です。 -- 作成者 (2022-02-03 12 02 52) ボバがヘルメット拾い上げるシーンは「母さんです」的なやつを彷彿とさせたけど、頭自体は別に吹っ飛んでたのか。初めて知った。 -- 名無しさん (2022-02-03 12 11 43) ↑2それなら他の人がそれらを作る前に新規項目申請ページで書いといた方がいいと思う。ここで言っても何かしらの効力は無い -- 名無しさん (2022-02-03 12 15 12) ゲーム版の記述が入っている +1000000点 -- 名無しさん (2022-02-03 13 05 02) ↑4あんまりこういうことを言いたくはないですけど、作成者と名乗りつつのそういうコメントは『コメント時のルール』の「消される、規制されるコメント例」にあった「立て主アピール」に当たるのでは?失礼なことを言って大変すいません。 -- 名無しさん (2022-02-03 18 03 55) 「作成者ですが、ここで○○を作る予定です」とか宣言しても予約効果は無いし、何なら既に指摘の通り万一でトラブルの元にもなりかねないかと……あ、記事の内容はジャンゴの意外な過去が知れて良かったです -- 名無しさん (2022-02-04 18 26 37) クローンへの遺伝子提供者がドゥークーの側にいたことにジェダイはなんの疑問も抱かなかったんだろうか? -- 名無しさん (2022-02-04 20 31 27) 骨の髄までマンダロリアンだったのね…。 -- 名無しさん (2022-02-04 21 11 46) 金田明夫氏もまさかジャンゴ役の後20年間クローン兵演じまくることになるとは思わなかったかもな -- 名無しさん (2022-02-04 21 24 26) ↑しかも本職は声優ではないという -- 名無しさん (2022-02-07 00 50 00) ↑4 初めて観た時からずっとそれが気になってる。EP2自体はアクション多めでわりと好きなんだけど、ストーリー展開はだいぶ納得できない。 -- 名無しさん (2022-11-24 06 45 00) マンダロリアンのジェダイやシスがいたらクソ強いんだろうなあって思う -- 名無しさん (2022-12-25 09 06 35) ジャスター・メリールの項目は自分が作ろうと思ってたんですけど、ここのコメント見たら他の人が作ろうとしてるみたいなので、やめにします…… -- 名無しさん (2023-04-20 19 17 07)
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△月◎日 先日、ニホン国より評価試験用に譲り受け、黒エルフを通して 我々ドワーフに貸与された魔法の杖“しぐ・ぴー220”を調べてみる。 “しぐ”とは対人攻撃用に開発された武器で、大きさはジャイアントの握り拳程。 僅か300人でバッサン兵3万名からランゲルハンス島を守りきり、 1万名もの死傷者を出した“異世界の武器”である。 ブーメラン型の金属塊で、片手剣並みに重い。我々が使う魔法の杖とは全く異なる。 発破する秘薬によって押し出された弾が目標を破壊するという非常に単純な原理で出来た物だ。 秘薬の製造法は不明。薬に詳しい黒エルフ達が話すのだからそうなのだろう。 簡単な原理に対して造りは複雑で難解だ。 壊れないよう慎重に解体するだけで一週間も要した。 同僚のゴラムやフロドが無理に部品を外そうとするせいで、5丁の内3丁が壊されてしまった。 残るは見本用に解体せずとってある一丁と、現在私が解体しているものだけである。 最初の取引では設計図が付いてくる予定だったのだが、 ニホンの外交官が最後まで渋ったせいで自力で解体することになった。 技術の不明な点については、三日に一度開かれる技術交流交換会で互いに話し合うことになっている。 螺旋状に曲げられた金属の棒“螺子”を外す際にとても苦労した。 まさか外すのに部品の一部を差し込んで回転させるなんて思ってもみなかった。 ニホン製のアーティファクトの大半には螺子が使われているらしい。 はめ込みと融接以外の新しい接着法である。 自在に取り外せて付けるのも容易、釘と違い再利用も簡単。素晴らしい技術である。 内部構造が判明してからは驚きの連続である。 髪の毛一つの狂いさえない全く同じ形の部品や金属棒の中に刻まれた螺旋状の溝。 どうやって彫りぬいたのか、一つの金属塊で出来ている小さな部品。 我々でも再現は難しいだろう細工の数々。 特に興味を惹いたのは螺旋状に曲げられた“バネ”(と向こうでは呼ぶらしい)だ。 これは力を入れられるともとの形に戻ろうとする部品である。 時計に使われている巻貝型の物とは違い縦長である。 応用すれば現在のバリスタの大きさを半分に縮められる素晴らしいものだった。 魔力を使わず非常に大きな破壊力を出せるのも“しぐ”の利点で、 場合によっては国家魔導師が使うファイヤボールを凌ぐ殺傷能力を発揮する。 連射速度は魔法を使うよりずっと速いし、まがじんやだんそうと呼ばれる 特殊な構造によって弾が尽きた後の交換も楽だ。 破壊力も申し分ない。騎士の鎧を正面から貫通できる性能を有している。 問題は破壊できる面積が指先一つの穴だけで非常に少ない点だが、これも問題ないと私は思っている。 相手を殺すのに全身を大火傷させる必要も、氷の槍で貫く必要もない。 必要なのはただ一点、急所を破壊するだけで足りる。 郡体であるスライムやブロブ、ミストやヒトクイソウなどに効果は少ないだろうが、 ゴブリンやジャイアントなど魔物の大半に対して威力は大いにある。 この武器の利点は非常に破壊力の大きい武器であるにも関わらず誰でも使えるのだ。 通常、共通魔法であるファイヤボールを満足に使えるようになるには3年の月日が必要である。 戦闘で使えるようになるには5年だ。ちなみにこれは魔道の素質がある者に限った話で、 魔法が使える者は100人に1人もいない。 最も数の多い人間族でもそうであるのだから他の種族も推して知るべしである。 唯一エルフだけは例外であるが、全体として魔法を使えるものは殆どいないだろう。 全く無力な魔法が使えない種族や訓練をせずとも女子供でも、しぐがあれば狼や魔物に対抗できる。 夜に城門を閉めずともいいし、旅商人は安全を約束される。 バッサンから独立したてで軍事力を必要としていて、貿易が主たる我がエルブ国にとって価値は計り知れない。 今はニホン国のジェダイが軍事面で我々の後ろ盾に立ってくれていてくれるが、 いつ手のひらを返すとも知れず、全くの異世界人相手では気も抜けない。独立した力が欲しい。 近年では国境沿いのバッサン帝国軍とライバー連合の動きが活発化しつつあり早急な強化が必要であった。 黒エルフ達がニホンの魔法杖を欲しがったのも理解できる。 エルブ国はニホンからの“銃”研究にかなりの金を使うようだ。 銃研究の代償として東に広がる腐臭漂う呪われた土地を売り、その土地の川沿いに街を造るのを許可した。 銃の独占研究と購入権を得て、魔法研究の協力を申し出たのだ。 たった一種の魔法杖の製造法と広大な土地の交換、本来ならありえない選択である。 だが渡すのは“呪われた”水が黒く汚染され、沼地だらけの草木も育たない腐臭漂う不毛の大地。 しかもバッサンとの国境沿いである。くれてやるのは要らない土地。 国際情勢が微妙なこの時期にあわよくばニホン国を防波堤にしようと考えているのだろう。 魔法研究についてもエルブには大した魔法技術はない、民間で使われる程度の技術と 極めて使用困難なエルフ達の精霊魔法しかない。 前者は幾らでも手に入るもので渡しても問題はない。後者は基本的に黒エルフ達しか使えないものである。 エルフの精霊魔法を解読させられるニホン国の技術者に同情する。 黒エルフの考えはいつもながら黒い。 △月△日 精霊魔法(彼女達曰く、精霊とは異なるものだが通称として呼ぶ)は解読困難だ。 『「ミボルを」「エフィドで」「ポズデクする」』などエルフ独自の専門用語が多い。 しかも翻訳出来たところでメイジ魔法(人間達の使う魔法)とは違い、使えるまでに苦労するのは間違いない。 メイジ魔法は順序だてて魔術を行使するのに対し、精霊魔法は過程を飛ばして結果が来る。 例えば魔法で火を出すとする。 メイジ魔法なら万物の根源はマナであると定義していて、マナが震えることで熱さが出ると考えている。 火を出すには一定周期のマナを震わせる必要であったり、一定の濃さが必須であったりして 様々な条件が必要だ。しかし最終的にはマナを震わせる条件に行き着く。 精霊魔法はメイジ魔法と根本が違うとされている。 条件が極めてあいまいだ。精霊魔法は歌で世界を直接書き換える。 翻訳できても使用するのは不可能だと考えられている理由の一つだ。 条件は使い手の言葉に左右され、火を出す際にホムラや炎、火炎、焔、などの言葉を詩に組み入れ 歌い終わると指定した場所に火が付く。もちろん指定する箇所も歌詞に組み入れなければならない。 鍵となる言葉の定義は極めてあいまいで、全て結果は同じである。 更に違う人物が同じ歌を歌っても違う結果になる場合も多く、結果は必ずしも一定しない。 精霊魔法には魔力や力の条件や制約といったものは個人によるものと考えられていて、 マナに代わる表現がない。力の根源が何か使っている彼女ら自身も把握していないのだろう。 一部の歌詞は伝わっているものを使っているらしいが殆どが即興だ。 前に黒エルフにどうして魔法を使えるのかと聞いたら「頭の中に聞こえてきた詩を歌った」と話した。 何処から歌詞が出るのか、どうして紡がれるのか彼女達も判っていない。 その上、音程や術者の資質、心なども魔法の行使に大きく関わって来るのだ。 ましてや、精霊魔法を他の種族が発音するのは非常に困難だ。 一人で三重奏五重奏できる腕が必要になる。 無論、そんなことが出来る種族はエルフ以外にはいない。 「彼女らの魔法言語はぷろぐらむ的文法でかつ詩的曖昧さを併せ持つ」 まるでヒュムノスだと視察に来たニホン人の偉いさん、田中が嬉しそうに話していた。 彼らの世界にも似た魔法があるのだろうか? きっとこれだけ素晴らしい魔法の杖を造れるのだからあるのだろうな。 ジェダイの桑井の話では、ニホンは魔法使いに頼らずに暮してゆけるのだという。 ゴーレムより遥かに効率の良いアーティファクトや 魔法を超える魔法を使わない機械がたくさんあるらしい。 海の向こう、まだ見ぬニホンの姿に興味は尽きない。 無理難題を押し付けられたニホン人の健闘を祈る。 △月□日 実験用に捕獲しておいたイービルアイを使って、早速日本式魔道杖の威力を見物する機会が来た。 イービルアイは危険な魔物である。 形はだ円状、大きさは馬と同じ位。 体の半分もある巨大な口とドワーフの握り拳程の目が体中に付いた、浮遊する目玉の魔物だ。 前文明、古代王国期に造られた偵察用の魔物で軍事目的に使われていたもので、 現在は野生化し、人々を脅かしている。 成人男性のドワーフほどもある大きさの岩を動かす念力と、牙の生えた巨大な口による噛み付き。 3~5体で群れる習性と体に無数に生えた眼による死角のなさもあいまって恐ろしい魔物である。 出現の際は街の警備部隊が一丸となって退治に乗り出し、魔道師までが出る。 実験に使うイービルアイは幼生で、大きさはドワーフの子供程度。 事前に餌として馬を与えておいたおかげで動きは活発だ。好ましい。 鎖に繋がれたイービルアイがギーギーと金属をすり合わせた耳に付く声で鳴いている。 「念力対策は大丈夫なのか?この刻印拘束は信頼できるのか」 壁際の出口に立つジェダイ達、その代表である桑井が疑い深そうに聞いてくる。 彼らはしぐの上位に当たる杖を持っており、逃げた際の保険だ。 イービルアイを捕まえたのも彼らジェダイで、150人の兵士が必要なところを僅か30人で鎮圧した。 無敵を誇るジェダイでもイービルアイは恐ろしいようだ。 今回は訓練に来ているらしい。 黒エルフの対魔物戦術を参考に訓練を施したニホン式対魔部隊なのだとか。 「問題ありません。クラス2までの魔道師でも十分な拘束力があります」 「こんな刻印で封じれるなんて信じられん」 ニホンから来た人々は疑い深い。 特に刻印と魔術に関しては誰もが信じられないといった風である。 「我々の間で長く使われてきた術式で効果は実証されています」 「信じるしか……ないか。だが我々でも対策は取らせてもらう」 「どうぞ。お好きなように。では、始めます」 ゆっくりと拘束刻印の光が弱くなり、力を取り戻した5体の幼生イービルアイがふらふらと宙に浮かび上がる。 「訓練を開始する、今回の課題は室内における魔物との近接戦闘だ。 的は魔物だ、人間じゃない。遠慮せずに撃て。 内容は事前の打ち合わせどおり、武器弾薬は好きに使っていいと許可が出ている。 あとは適当にやれ。以上」 桑井の声に部下のジェダイ達は整然と動く。 国旗と聖剣、不死鳥とオリーブの葉が合わさった紋章を付けた兵達14名は 箱に似たニホン人風家屋を模した建物の中、イービルアイを殲滅した。 手振りだけで連絡を取り合い、常に死角を補い合う動きは練度の高さを感じさせる。 素早い動きはまるで噂に聞く西洋のカゲだ。 彼らは僅か開始6分で5体のイービルアイの幼生を屠り、 後に投入された成体を接触後5分で殺してしまったらしい。 らしいというのは人づてに聞いたからである。 少し眼を離している間に戦闘は終わってしまっていた。 馬鹿な、イービルアイは弱い部類に入るが古代王国期の魔物だぞ!? 彼らはどんな魔術を使ったのだろうか。 改めてニホンの技術力に脅威を感じる。 ジェダイは恐ろしい。 遠距離から一撃で倒すことが出来る武器もだが、 戦闘人形のごとく無言で淡々と仕事をこなす姿を見ると寒気がした。 彼らが敵に回らなくて本当に良かった。
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冥探偵ジェダ~解答編~ ◆tcG47Obeas 冥王の城に、魔蟲の羽音が響く。 穴を抜け室を抜け通路を抜けて、羽音を立てて魔界蟲が降りたった。 魔蜂の女王はこの世界を統べる冥王に傅いた。 「ふむ、帰ったか」 ジェダは振り返りQ-Beeを迎えると、報告を促した。 Q-Beeは忠実に報告を開始する。 「49バン、ノガミアオイ。シタイカクニン。 45バン、ニア。リリスカラシボウヲカクニン。 22バン、グリーン。リリスカラシボウヲカクニン」 Q-Beeは確認した順番に報告を並べていく。 グリーンもリリスから確認した事は予想外だが、76番の報告に有った二つの首輪に合致する。 そのまま続けさせる。 「86バン、ヴィクトリア=パワード。クビワダケカクニン。 21バン、ククリ。シタイカクニン。 17バン、カナリア。シタイカクニン」 首輪だけ。 報告の内容にジェダは眉を顰める。 それは中身を誰かが持ち去ったと考えるべきだろうか。 あるいは中身が自分で歩き去ったと考えるべきだろうか。 だがそれ以前の答えが姿を見せる。 「タブン、40バン、タチカワミミ。セイゾンカクニン。 62バン、フルデリカ。シタイカクニン」 太刀川ミミの生存。 最早確定事項だろう。 ジェダは確認を始める。 「多分、というのはP-Beeの首輪が無いためか?」 「クビワツイテナカッタ。カオ、タチカワミミダッタ」 ふむと唸り考える。 「よくやった。首輪に入るP-Beeを一匹用意しておけ。 それが終われば通常の仕事に戻れ、ただし放送の前になったら一度戻って来るのだ」 ジェダは一旦Q-Beeを帰らせて、思案する。 とにかく太刀川ミミの為に新たな首輪を用意しなければならない。 それ自体はそう難しいことではない。 予備の首輪の用意は有るし、太刀川ミミに付けられているものは一般人用の通常の首輪だ。 通常の首輪なら数分もあれば用意できる。 そう、太刀川ミミ自身は通常の首輪で十分な参加者の筈なのだ。 にも関わらず、どうして未だ生きている? (首輪が爆発すれば死ぬはずだ) 首輪の爆発は全ての参加者を確実に殺傷せしめるだけの威力を持っている。 参加者本来の能力であれば耐え切れる者さえも、決して逃れる事ができない。 それは参加者全ての能力が等しく、そして個別に制限されているからだ。 参加者には二種類の制限が課されている。 それは会場全域を覆うフィールド状の物と、首輪から個別に発動している物だ。 まず前者の制限フィールドはジェダ以外の基本的な能力を制限する。 どれだけ強力な参加者でも、少なくともジェダと首輪に抗えないレベルまで能力を落とされているのだ。 この正体はジェダが敷き詰めた自身の魔力である。 即ちかつてインデックスが見抜いた通り、法則が違うあらゆる界の魔法を同時に運用する為のフィールドでもある。 この世界におけるありとあらゆる異能はジェダの掌の上にあるからこそ動けるのだ。 その程度を制限する事も、容易い。 しかしこれにより制限できるのは比較的単純な能力だけである。 人外の身体能力、気、魔法、超能力、全てを等しく制限できる反面、 個別な特殊能力を制限しきる事が出来ないのだ。 そこでもう一つ、首輪により課されている個別の制限が存在する。 首輪には所謂呪いの一種が刻まれているのである。 これは様々な道具等を使い参加者の前歴を完全に洗った上で設定した物で、 前者の制限フィールドによる基本能力制限の微調整も兼ねている。 微調整といってもフィールドの制限は大雑把な物であるため、ケースによっては大きな差を生む。 割と理不尽かつ出鱈目に多種多様な能力を持っていたパタリロに至っては纏めて通常人間程度に制限してあるのだ。 首輪が外れたところで会場の制限がある以上そこまで脅威にはならないだろうが、一応バランスを考慮したのである。 まかり間違っても色々有って面倒だったというわけではない。 加えて首輪の制限は、それよりも特殊な能力に対して掛けられた部分が多い。 吸血鬼が無数の蝙蝠へと分離する事は出来ても、中枢部分を固め押さえて離さないといった具合だ。 物理攻撃を無効化する霧化に至っては封印してある。 これにより首輪の爆破を無効化する事も、首輪から抜ける事もできない。 また、別の話だが支給品で強化できる範囲でも首輪の爆発を防ぐ事はできない。 これは基本能力の強化では制限フィールドに妨げられ首輪の爆破に耐え切れない事と、 特殊効果の類も配慮した上で支給品に回しているからである。 制限下で首輪が爆発すれば死ぬはずなのだ。 なのにどうして、彼女は生き延びた? 増して自身はただの人間であるはずの太刀川ミミがどうやって。 首輪が爆発すれば死ぬ事を前提にするならば、太刀川ミミでは説明がつかない。 そもそも太刀川ミミの顔をした首輪が無い参加者は、本当に太刀川ミミなのだろうか? そう、ジェダがその答えに辿りつく。 冥王の手が事実に届いてしまう。 幾条もの偽りを超えて真実を掴み取ってしまう。 冥王の知性はあまりにも怜悧だった。 「生き延びたのはヴィクトリア=パワードか」 ジェダは真相に到達した。 確かQ-Beeが追加支給品として持って行った中には顔形を変えるような物が有ったはずだ。 それを使えばヴィクトリアが太刀川ミミに成りすますのは難しいことではないだろう。 ヴィクトリアは首輪を外し太刀川ミミに成りすまして生きている。 「だが」 ジェダはそこで止まらなかった。 薄っすらと笑みを浮かべ、呟きを漏らす。 「自分で言うのもおこがましいが 私は聡明なのだ……あきれるほどに」 そう、ジェダはもう一段踏み込んだ。 「君でも無理だろう? ヴィクトリア=パワード」 ヴィクトリアの持つ錬金術では首輪を外すに至らないだろう。 彼女には知識が有っても機材が不足していたはずだ。 機械的設備が無い場所で首輪解除を達成するには、恐らく魔法が必要になる。 ヴィクトリアが来た世界に錬金術は有ったが、魔法は存在していなかったはずだ。 もちろん支給品の中には有る程度の魔法を習得可能にする物もある。 だがそんな付け焼刃で首輪を外せたとは考えにくい。 何千何万人に一人という類稀なる適正を持ってでもいなければありえまい。 ならば誰が彼女の首輪を外した? 首輪を解除する方法を見つけたのは誰だ? ヴィクトリアの死が誤報だとすれば、その場には誰が居た? ジェダの知性はその者の名を告げた。 「君か。吸血鬼レミリア・スカーレット」 思えばレミリア・スカーレットの経緯は異常である。 ヴィクトリアすら殺害していなかったとすれば最早間違いない。 膨大な数の戦闘を積み重ねながら、殺害したのはあろう事かQ-Beeだけなのだ。 しかも彼女には前例がある。 夕方に起きたレベッカ宮本の吸血鬼化という些細なイレギュラーが。 レベッカ宮本の吸血鬼化。 すぐに修正されたため首輪から抜けたヴィクトリアとは雲泥の差が有るが、実を言えばあれもイレギュラーの一つだった。 生命の水などによる生態系の変化とは訳が違う。 幾ら生態系が変化しようとも、肉体が平常の生物の範疇であるならば首輪はバイタルサインを確認し続ける事ができる。 特殊な核鉄を心臓の代用にした場合も同様だ。 生命エネルギーで強引に維持している節は有るが、その肉体が生命活動を行っている事に違いは無い。 正確には首輪は、というよりもP-Beeが感知している。 着用させた時に有った、物理的にせよ魔術的にせよ生体反応を丸暗記し、それが途絶えれば死んだと判断する。 P-Beeの類稀なる触覚は密着している者の生体反応くらい余すことなく感じ取る事ができるのだ。 しかし吸血鬼、妖怪というものは肉体よりも精神に依存した生物なのである。 その肉体は精神により生かされているといっても過言ではない。 あまりにも命の形が違いすぎる。 本来そういう類の変化を起こすものは、全て会場から排除していたはずだった。 支給品にあるものでその類の変化を起こす事は出来ないし、参加者のそれも首輪の個別制限により封じていた。 例えば別の世界の吸血鬼であるエヴァンジェリンの場合、吸血による強化支配能力は制限してある。 スカーレット姉妹にあるもう一つの特性である、肉体が陽光に焼かれて生じる煙を吸った者が不死性を得る特性も制限してある。 それを吸った者は居なくとも、レミリアが日に焼かれた事は何度かあったのだ。 しかしスカーレット姉妹の吸血鬼化の特性は、過去一度たりとも効果を発揮した事が無かったのだ。 それどころか彼女達自身が望もうとも、その特性を発揮する事は出来なかった。 姉のレミリアはあまりの少食から。 妹のフランドールは生きた人間を木っ端微塵にせず吸血する加減が欠如していたから。 幾らジェダとて過去の記録にも当人の意識にも無い上に特異すぎる性質を封じきる事は出来なかった。 過去当人が望んでも出来なかった事であり、起きる可能性は低いと判断して大目に見る事にしたのだ。 その隙を突かれた。 消耗した空腹の時に失血死寸前の人間から血を吸い尽くす事で条件を満たしたのである。 首輪はあまりにも特異な変容を追跡する事が出来ず、かくしてレベッカ宮本は一時ジェダの探知から零れ出た。 それが大きな問題にならなかったのは、確認が容易であったからだ。 機能を停止していたとはいえ、首輪が付いている事に変わりは無いのである。 ジェダは魂の漏れからそれに気づくと、すぐさまQ-Beeに命じて休眠状態のP-Bee達に確認を呼びかけさせた。 結果、レベッカ宮本の体内に通常とは違う新たな命が流れているのを感知する事が出来、彼女の監視は復活した。 その際、レベッカ宮本は未だ生き続けている参加者としてバトルロワイアルへの継続参加を認めると共に、 実行者であるレミリア・スカーレットに対しても特別な処置を与える事は無かった。 吸血鬼化による変化が起きても自動的に反応を追跡するよう設定した事も有るし、 事前に予測しえたにも関わらずジェダが油断した結果である事を理解していたからだ。 恐らくレミリア・スカーレットは人の血を求めただけだろうし、その行為自体はバトルロワイアルを健全に進行させる。 そう考えていたのだ。 「闇に惑う幼子達よりは聡明な部類に入ると考えていたのだがね。実に残念だ」 しかしそうではない。 これだけの経歴が積み重なれば幾らなんでも確信に至る。 レミリアはジェダの儀式を瓦解させようとしていたのだ。 その為に吸血鬼化現象を試し、殺し合いに乗ったフリをしながら誰も殺さず、それどころかQ-Beeを倒した。 あまつさえ妹を殺した仇であるヴィクトリアまでも助けるとは予想外だった。 いや、もしかするとだからこそ助けたのかもしれない。 この島で一番助けるはずのない者だからこそ、裏をかくために。 レミリアの怒りは真っ直ぐとジェダ一人に向いていたのだ。 ならばジェダはどうするのか。 ここまで明確に反抗したレミリアをどう処置するのか。 (まずは罰を与えるところだが、私は寛大だ。しばらくは泳がせてあげよう) 答えは何もしない。 ただ、レミリアへの監視を強めるだけ。 もしもレミリアが他の参加者に怪しい行動を行ったらそのデータを採らなければならない。 レミリアが一体どういう手段で首輪を外したのかを調べる為に。 基本、ジェダはQ-Beeを通じてP-Beeにより参加者を監視している。 これでも大抵の場合は問題無いのだ。 P-Bee達は覗き窓から見た情報、耳にした情報を報告している。 場合によってはキーワードに反応して報告を行うようにも命じてある。 P-Beeの知性は低いため、そういったキーワードシステムが有効だったのだ。 『ご褒美をちょうだい』という後付けキーワードも反応するように、追加は容易だ。 例えば『首輪』というキーワードについても設定してある。 ただしこれを設定したのは第一放送の後である。 最初の内は身に付けられた首輪への戸惑いと恐怖から。首輪という単語が頻発すると予想できたからだ。 一方でそれ以降も会話に上るなら危険が有ると判断し、経過を見て監視ワードに設定した。 少し言い換えるだけで逃れられる事もネックだが、盗聴を警戒されなければ効果は有ると思われたのだ。 その結果、このキーワードは主にトマという参加者から多く検知された。 野上葵とトマとの会話。 既に死んでいるジュジュとの会話。 レベッカと会った時も、野上葵の首輪を取ろうとしている事が伝えられた。 何れもジェダの耳に入り、しかし気にする必要も無いと一笑に付した会話である。 野上葵の能力による首輪解除はそもそも首輪による制限が掛かっている限り不可能だった。 トマの予想は半分だけ外れ、能力制限の仕掛けは首輪“にも”仕込まれていたのだ。 ジュジュとの会話も、あくまで現実逃避だろう。 野上葵の首輪については恐らく死んでいるものだと思っていたのだが、これは逆に信用できず、 Q-Beeの死のせいで報告が途絶えていた事もあり、後からQ-Beeを調査に向かわせる必要が生じてしまった。 トマという参加者が首輪を外そうと足掻いている。 それだけだ。 監視ワードに入る内容はどれも足踏みをしている段階、気にする必要さえも無い。 日が過ぎてQ-Beeを生き返らしてからは殆ど検知されてすらいない。 『首輪』という発言が殆ど無いのだ。 リンクという参加者からも検知されたが、外す方法が見当もつかないと零す程度。 Q-Bee死亡中の報告が失われた──P-Beeに報告を覚えておくような事は出来なかった──のは気になるが、 今のところ、トマもリンクも問題のある段階ではないように思えた。 それよりもレミリアだ。 今回レミリアを監視する為に設定した条件は、キーワードではなく対象人物を指定したものだ。 レミリアの発言から行動の全てをジェダに報告するよう設定したのである。 (ヴィクトリア……いや、“太刀川ミミ”には新しい首輪を付けておくだけで良いだろう) “太刀川ミミ”には設定がヴィクトリア用の首輪を付けなければならない。 しかし薄っすらと彫られている名前などは太刀川ミミの名を使うとしよう。 首輪を付けなければならないが、レミリアを油断させる必要も有る。 たまたま“太刀川ミミ”を見つけて首輪を付けた、その程度に思わせておくのだ。 放送の名前もヴィクトリアの方を呼んでやろう。 首輪を付けに行くのはその時が良いだろう。 そうやってジェダは巧緻な策謀を張り巡らせていく。 (さあ、レミリア・スカーレット。その真実を私に委ねるのだ) 冥王城の奥深く、殺し合いの主人はほくそ笑む。 その推理の絶対を信じて。 余談であるが。 今のところ、ジェダ・ドーマは気づいていない。 いつの間にか新たにもう一組のイレギュラーが生まれていることに。 蒼星石とチャチャゼロのチェンジリング。 それは本来起こるはずもない事だから。 もちろんそれは蒼星石の魔力変質が予想外だったからでもある。 エヴァのドール契約自体は、少なくとも新たに従者を作り出す事は制限されていた。 これは意志が吹き込まれる部分などが制限により機能停止していたという意味である。 それ以上に制限する必要は無いと思われていたし、制限すれば他の魔法の使用まで支障を来たしていた。 チャチャゼロを材料に他の人形の参加者の治療に使うというのは応用的で、完全に想定外の使い方だったのである。 何よりもその結果として魔力が変質する程の劇的な症状が出るとは予想だにしなかった。 それは魔術的に高度な要素が複雑に絡み合った結果、偶発的に起きた現象なのである。 だがそれよりもチャチャゼロに起きていた現象こそ劇的だった。 実を言うとジェダは、一定以上の魂が含まれない事を条件に支給品を集めていた。 魂には重みという物が有る。 同じ種族ですら、Q-Beeは一人分に誤認されてもP-Beeのそれが誤差にすらならないように、 支給品“達”の魂は全て破壊されようとも参加者一人分にさえ満たないはずだったのだ。 実際、他の意志有る支給品が破壊された時の魂に誤差は出ていない。 にも関わらずチャチャゼロの魂には参加者一人分を満たす程の重みが有った。 考えられる事は幾つかある。 エヴァが近くに居た事で、魔力が流れ込まずとも何らかの強化に繋がったのかもしれない。 死んだというより仮死、あるいは擬死状態とでもいうべき状態から神体に吸引され、 魂が無理矢理引き剥がされて呑み込まれた事も一因と言えるかもしれない。 だがもっと単純に考えるならば、こうだ。 これまで数百年エヴァと共に歩んで来て成長しなかった魂が、僅か一日で急激に育っていたのだ。 そんな事は普通に考えるならありえない。 “人型である事から参加者と同じく魂を練磨する儀式の影響を受けたとしても”そこまでの成長は想定外だ。 だが事実、チャチャゼロの魂はそれほどの重みを持っていた。 だから気づけなかったのだ。 有り得ないと思われていた事が起きたから。 ジェダはチャチャゼロを甘く見ていたのだろう。 たかが人形がささやかな奇跡を起こしていたなんて思いもしなかったのだから。 儀式はあるべき形へと効率的に進んでいた。 誰が思うよりも劇的に、速やかに。 混迷は全ての真実を覆い隠していく……。 ≪274 目撃者と追跡者 時系列順に読む 276 蒼星石/Lapislazuri Stern≫ ≪274 目撃者と追跡者 投下順に読む 276 蒼星石/Lapislazuri Stern≫
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アンディ・サーキス 名前:Andy Serkis 出生:1964年4月20日 - 職業:俳優・声優・監督 出身:イギリス 出演作品 2000年代 2006年 プレステージ(アリー) 2010年代 2015年 アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン*(ユリシーズ・クロウ*):広田みのる スター・ウォーズ フォースの覚醒(スノーク):壤晴彦 2017年 スター・ウォーズ 最後のジェダイ(スノーク):壤晴彦 2018年 ブラックパンサー*(ユリシーズ・クロウ*):広田みのる 2019年 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け(スノーク):壤晴彦
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さかき孝輔 出演作品 Disney+:実写 ザ・クエスト エヴァレルムの勇者たち(サイラス王) BECOMING 目指す自分になるために(コーリー・マクラフリン(#4)) Disney+映画:実写 シークレット・ソサエティ 王家第二子 秘密結社(エドモンド【グレッグ・ブリック】) トーゴー(ヘンリー・アイヴァノフ【ブランドン・オークス*】) ムーラン 実写 スター・ウォーズ 最後のジェダイ パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊(ボラード) ブリッジ・オブ・スパイ*(マイケル・ヴェローナ)